若い女性がオジサン御用達のセダンを真剣に紹介! インドネシアで見かけたインフルエンサープロモーションの新鮮さ

この記事をまとめると

■GIIAS2024のプレスデーのプレスカンファレンスには女性インフルエンサーが大勢いた

■女性インフルエンサーは地味なEVセダンの魅力を熱心に生配信をしていた

■自動車メーカーではリーチできない新たな層へのアピールとして女性インフルエンサーは有効だ

コンパニオンではない女性の姿を見かけたGIIAS2024会場

 GIIAS(ガイキンド・インドネシア国際オートショー)2024の開幕前日となる、2024年7月17日はプレスデーとされ、午前中から各出展ブランドによるプレスカンファレンスを行っていた。午後になって、中国GAC(広州汽車)アイオンのプレスカンファレンスに参加しようとブースへ行くと、その場には少々不釣り合いにも見える、若い女性が多数いた。

 それぞれ、脚立に自分のスマホを装着してスマホに向かって何かを話している。そう、彼女たちはインフルエンサーであったのだ。GACアイオンは、インフルエンサーにブースの様子やプレスカンファレンスの模様を生配信してもらっていたのである。

 事情通によると、「インフルエンサーの女性のひとりに聞いたところ、インドネシア国内のインフルエンサーだけではなく、タイの有名インフルエンサーも招待されていたそうです」とのこと。ステージの最前列にはGACの関係者などの「偉い人」がカンファレンス開始直前に着座していたのだが、いつものプレスカンファレンスとは異なる雰囲気に少々驚きの表情を見せていた。

 GACアイオンでは2回のプレスカンファレンスを実施した。2回目のプレスカンファレンスでは、タイでは「フリート販売専用」とされていた「ES」という、BEV(バッテリー電気自動車)セダンがインドネシアで初披露された。パールホワイトのボディに、内装では計器盤はBEVらしからぬともいえるアナログメーターを採用する、お世辞にもBEVとしては派手さのない地味なセダンであった。

 インフルエンサーの若い女性は、カンファレンスの模様を生配信したあと後に展示車に近寄り車両の説明を始めた。事前の予習が完璧なのか、ESのおすすめポイントを手際よく次々に紹介していく。クルマ自体もいじり慣れている様子で、トランクを開けたりするのもじつに手際が良い。

 何より感心したのは、若い女性がプライベートではまず興味を示さないと思える地味なセダンを、あの手この手で魅力を紹介していることであった。正直なところ、オジサン世代の筆者としては「インフルエンサー」と聞くと「手軽にお金を稼いでいる」という印象を持っていたのだが、今回彼女たちの取り組む姿勢を見ていると、まさにプロそのものの真剣な様子が伝わってきた。

 とにかく細かくクルマの魅力を紹介していくその様子は、いまにもクルマの下に潜り込んでまで紹介してしまうのではないかと思ったぐらいでああった。

 このインフルエンサーを使っての情報発信は、VW(フォルクスワーゲン)ブースでも行われていた。単に出展メーカー自身がSNSで情報発信するのではなく、すでに多くのファンがついているインフルエンサーを活用し、自動車メーカーなどではなかなかリーチできない新たな層へのアピールやショー会場への集客効果の高い動きのように見えた。会場からのインフルエンサーによる生配信は斬新な試みであり、日本でも「ジャパン・モビリティ・ショー」で積極的に活用してもいいのではないかと感じた。

 夕方になりそろそろホテルに戻ろうかと、会場内を最終確認していてGACアイオンブースを通りがかると、まだインフルエンサーの女性たちが生配信を続けていた。

 若い女性コンパニオンは自動車ショーにはつきものであるが、広い意味で一般の若い女性が展示車を囲む風景はとにかく新鮮なものであった。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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2019年式トヨタ・カローラ セダン S
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乗りバス(路線バスに乗って小旅行すること)
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渡 哲也(団長)、石原裕次郎(課長) ※故人となりますがいまも大ファンです(西部警察の聖地巡りもひとりで楽しんでおります)

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