この記事をまとめると
■人の操作を電線を通じて行う操作機能を「バイ・ワイヤー」という
■バイ・ワイヤーはクルマ以外にもバスやトラックや航空機にも使われている
■今後はHMIの側面からもバイ・ワイヤー技術の採用は不可欠となっている
よく耳にする「バイ・ワイヤー」ってなに?
バイ・ワイヤーとは、電線(ワイヤー)を通じて行う操作機能をいう。
一般に、乗り物の動きは、人の操作に対し、機械的なつながりを通じて、旋回したり、加速したり、減速し、停止したりする。それに対し、人の操作をまず電気信号に替え、それを電線(ワイヤー)で作動する機器へ伝え、機能させることをバイ・ワイヤーという。
メジャーなところでは、アクセル・バイ・ワイヤー、ブレーキ・バイ・ワイヤー、そしてステアリング・バイ・ワイヤーなどがある。
運転者が、アクセルを踏んでいるのに加速が鈍い、あるいは加速しないといった、衝突予防安全の機能は、バイ・ワイヤーがあって成り立つものだ。
運転者がブレーキペダルを踏んでいるのに制動力が加減され、タイヤがロック(回転を止める)して滑るのを予防するABS(アンチロック・ブレーキ・システム)も、バイ・ワイヤーによるもの。
運転者が、ハンドル操作をしていないのに、クルマが危険回避のため進路を変えるような支援機能も、バイ・ワイヤーがあってのことだ。
バイ・ワイヤーの技術は、大きな航空機で、操縦席から翼のフラップを操作するに際し、直接連結して機能させるのが難しくなり編み出されたものだ。それがクルマにも適用されることにより、上記のような安全性の向上や、燃費の改善などに役立っている。
乗用車以外でも、バスやトラックなど大型の車両では、シフト操作をバイ・ワイヤー化することにより、変速の操作はレバーを動かすことで指示が出され、その信号に従って実際に変速機がギヤを変えるといった方式になることで、運転を楽にできるようにしている。
一方、人は手ごたえを頼りに運転操作をするので、的確に操作が反映されたという手応えの演出が必要になる。操舵でいえば、路面とタイヤとのグリップの様子が、ハンドルを通じて運転者に伝わることで安心をもたらす。
単にラクに、あるいは先進的に機能を高めるだけでなく、HMI(ヒューマン・マシン・インターフェイス)の側面から、人と機械の関係を親しくする技術も、バイ・ワイヤーの採用では不可欠である。