冷房の冷えに腰痛に成人病! タクシー運転士は体調管理との闘いでもあった (2/2ページ)

乗りっぱなしが故の悩みも

 さらに、今年も猛暑が日本列島を襲っているが、この時期ならではといえるのが「冷房」の影響だ。前出の乗り合わせた運転士によると、「ひどい暑さのなかで乗っていただくので冷房は強めにしております(お客が乗車後はその乗客の要望に合わせる)。長時間冷房のきいた車内で運転しますので、腕が冷えすぎてしびれるような痛さに見舞われます。もちろん身体は冷え切ってしまうので、乗務を終えて家に帰ったときには熱くしたお風呂に入り身体を温めています。お客さんからは『この暑いなか1日冷房のなかにいていいね』といわれることもありますが、かなり身体にはこたえます。冬になると1日暖房のきいた車内にいますので、睡魔との闘いになります」と語ってくれた。

 とはいうものの、JPNタクシーになってからはその性能向上でずいぶん負担は軽減したとも語ってくれた。

 この時期、クラウン・コンフォートのタクシーに乗ると、異口同音に運転士からは「エアコンが効かなくて地獄だ」みたいな愚痴を聞くことが多くなる。あくまで運転士の話になるのだが、コンフォート系のエアコンは昔かたぎともいえるタイプで、走っていないと涼しい風は出てこないとのこと。いまどきはボディカラーが黒の車両も多いので、駅前などで客待ちしているときは冷房もなかなか効かず、黒のボディカラーで熱吸収も良いので、「地獄と化す」というのである。

 一方で、クラウンセダンやJPNタクシーはオートエアコンでもあるので、コンフォートのような「地獄」はないとのこと。また、JPNタクシーでは後席、つまり客席へ向けたサーキュレーター(上級グレードのみ)もあるので、暑がりの乗客でも直に涼しい風を浴びることもできるので満足感が高くなっている。

 ただし、走りの面ではクラウン系を評価する声も聞かれる。パワー面というよりはJPNタクシーはセダン系より全高が高くなったので、とくに高速道路走行時には風にあおられやすくなっており、セダン系ほど速く走ることができなくなったとのことであった。

 自動ブレーキといった安全運転支援デバイスもJPNタクシーでは装着され、ハード面での乗務支援体制はかなりレベルアップしてきた。しかし、基本的に20時間連続乗務し、昼間に寝るというのは人間の身体によくないのは明らか。新型コロナウイルス感染拡大がひどかったころ、タクシー乗務がなかなかできなかったが、再び乗務できるようになって乗り始めると、あらゆる面で「勘を戻す」ことに苦労したとの話も聞いたことがある。

 接客や運転技術だけではなく、特殊ともいえる就労環境に身体を適応させるのも、プロドライバーの必要条件のひとつとなっているといっていいだろう。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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