冷房の冷えに腰痛に成人病! タクシー運転士は体調管理との闘いでもあった (1/2ページ)

この記事をまとめると

■タクシー運転手は午前中に出勤し翌日未明に帰社する隔日乗務が一般的だ

■タクシーのシートや冷暖房は車種によって性能が異なる

■20時間勤務からの日中に睡眠を取るという勤務体系は人間の身体にはよくないとされている

タクシードライバーの労働環境は身体との戦い

 都市部を中心に、タクシー運転士は隔日乗務となっていることが多い。午前中に車庫を出て、帰庫するのは翌日未明以降という仕組みが隔日乗務とされ(途中休憩あり)、これが一般的な乗務シフトとなる。また、乗務日を「出番」と呼ぶ勤務体系もある。たとえば早朝に帰庫し、翌日午前中に再び乗務するまでの間は「明け番」と呼ぶ。明け番は休日というわけではなく、次の乗務まで一定の時間以上を開け休息をとることになっているので、そのルールを取り入れている形だ。そしてタクシー運転士は、出番と明け番をいわば「1パッケージ」として乗務を繰り返し、その間に公休日が入ることになる。

 基本的にはこのパッケージで乗務スケジュール(交番表)が組まれるので、平日、そして土曜や日曜日は関係なくなるのだが、傾向としては週末の木曜日や金曜日はタクシー需要が月曜日や火曜日よりも増える傾向にある。ベテラン運転士になると、土曜や日曜日の乗務を避け、さらに金曜日に乗務するようなシフトを会社側に要求することもあるとも聞いている。

 とにかく、休憩があるにしても、車庫を出たら20時間ほどは連続して乗務するのだから、身体にいいわけはない。タクシー運転士にありがちな持病のひとつは腰痛である。セダン系のY31系日産セドリックやトヨタ・クラウンコンフォート、トヨタ・クラウンセダンから、法人タクシーはトヨタJPNタクシーへの車両入れ換えが都市部ほど進んでいる。先日乗り合わせたJPNタクシーを運転するタクシー運転士によると、「以前はクラウン・コンフォートに乗っていましたが、いまはシート自体がよくなっただけではなく。シートポジションが高めになったのでずいぶん運転がラクになりました」と話してくれた。

 セダン系タクシーがメインのころは、とくに「スタンダード」などと呼ばれる廉価グレードだと、全面ビニールレザーシート(JPNタクシーの運転席は抗菌仕様合成皮革+ファブリック)ということもあり、正式名はわからないものの、玉が数珠のように連なったシートカバーのようなものをシートにかけて、とくに夏では通気性を向上させるのは必須であった。

 さらに座布団や腰痛対策の補助クッションなど、運転士個々でさまざまなアイテムを使用していた。「新人時代に座布団を忘れ、そのまま隔日乗務したことがあったそうです。翌朝車庫に戻ってクルマから降りようとしたら立つことすらできずに、這うように事務所に向かったことがあったと運転士から聞いたことがあります」とは事情通。新車のころならまだしも、40万kmもしくはそれ以上の走行距離まで使い続けるので、シートのへたりがひどい車両も多かったのである。

 そのほかにも、成人病の類を患っている人も多い。長時間クルマを運転しているので、その振動でお腹がすくのだが、基本的に歩くといったような運動は勤務中少ない。長時間乗務ということで食べる機会も多くなってしまうのがその理由のようである。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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