いまお得に乗れるクルマとは
一般的な残価率(新車価格に占める残価の割合)をトヨタ・ヤリスで見ると、3年後が41%、4年後は33%、5年後は26%だ。ユーザーの支払額は、3年契約なら41%の残価を差し引いて車両価格の59%になる。4年契約なら車両価格の67%を支払う。5年後なら残価が26%だから支払い額は74%だ。
それがトヨタ・アルファードになると、3年後の残価率が67%と高く、3年間で車両価格の33%を支払えばいい。4年後の残価は60%だから車両価格の40%を支払う。5年後でも53%だから、車両価格の47%を支払えば済む。
トヨタ・ランドクルーザー250も残価率が高い。3年後で66%、4年後で60%、5年後は55%だ。ランドクルーザー250のような悪路向けのSUVは、フルモデルチェンジの周期が長いこともあり、発売から長い期間を経過しても中古車の流通価値が下がりにくい。その影響もあり、5年後でも55%という高い残価率を保っている。
注目されるのは三菱トライトンだ。アルファードやランドクルーザーに比べると知名度が低く、ピックアップトラックだから中古車になったときの価値も予想しにくいが残価率は高い。3年後が59%、4年後は58%、5年後は55%だ。3年後の59%は、アルファードの67%やランドクルーザー250の66%に比べて低いが、4年後も58%、5年後でも55%だから時間が経過しても残価率はほとんど下がらない。
ここに残価設定ローンを利用した販売戦略がある。アルファードやランドクルーザー250は、価格の高い人気車だから中古車の購入を希望するユーザーも多く、中古車価格が高まるために残価率も高く設定した。そして残価率も中古車の価値に沿って、3年後では60%台、5年後なら50%台と差が生じる。
ところがトライトンは、ピックアップトラックでは価格が高く、売れ筋のGSRは540万1000円に達する。この価格は同じ三菱のアウトランダー並みだ。アウトランダーは4輪を前後独立式のモーターで駆動するプラグインハイブリッドを備えるため、機能や装備と価格のバランスで見るとトライトンは割高になる。
そこでトライトンでは割高感を補うため、残価設定ローンの残価率を敢えて高めた。契約期間が5年間のコースは利用者がとくに多いため、残価率を55%まで引き上げた。そのために3年後の59%と比べてあまり差が付かない。トライトンの商品企画担当者は「トライトンは価格が高く感じられるが、残価設定ローンを使っていただくと、月々の支払額が意外に安くなって購入しやすい。そこが狙いだ」と述べた。