この記事をまとめると
■自動車事故の原因のひとつに「アクセルとブレーキの踏み間違え」がある
■近年では踏み間違い防止装置を標準装備するモデルが増えた
■国連からも「ペダル踏み間違い時加速抑制装置」の国際基準が発効される見込みで、搭載が義務化される
どの年代にも起こり得るアクセルとブレーキの踏み間違い
「アクセルとブレーキを踏み間違えた」。
自動車事故が発生し、事故の当事者に警察が話を聞くとそう表現する場合がよくある。とくに、高齢ドライバーがコンビニや商業施設などの駐車場から急発進して店舗に激突したり、交差点での右左折時に急加速して道路側の障害物などに衝突したりすると「アクセルとブレーキを踏み間違えた」と証言することが少なくない印象がある。
一般的に、こうした「アクセルとブレーキの踏み間違い」は2ペダル式のオートマチックトランスミッション(AT)車で起こる場合が多い。
そのため、近年ではこうした事故への予防策として、自動車メーカー各社は「アクセルとブレーキ踏み間違い防止装置」を標準装備するモデルを増やした。
また、既販車でこうした装置が未装着の場合、アフターマーケットでは後付けキットが販売されている。
たとえばトヨタは純正部品として、「踏み間違い加速抑制システム」をラインアップ。その機能は、超音波センサーを用いたもので、前方では約3メートル以内でアクセルを強く踏んでもエンジン回転数を制御して急加速を抑制。
後退時も時速約5km/h以上の勢いで、かつアクセルを踏み続けた場合に制御がかかる。
そのほか、駐車場内や狭い路地などで時速30km/h以下の低速で走行しているとき、間違えてアクセルを強く踏んでもエンジン回転を制御する。
トヨタを含めて、自動車メーカー各社の開発者の話を聞くと、「アクセルとブレーキの踏み間違いは高齢ドライバーだけではなく、どの世代のドライバーでも起こっている」という社内調査があると指摘する。若い世代では、仮に踏み間違いをしても、間違いにすぐに気がついてブレーキを踏む行為をする場合があるようだ。
そのうえで、「アクセルとブレーキの踏み間違い防止装置」の技術面については、メーカーそれぞれで設計思想に違いがある。
こうした技術の新車装着が義務化されるとの報道があった。国土交通省の斉藤鉄夫大臣が6月28日に明らかにした。それによると、国連の欧州経済委員会における「自動車基準世界フォーラム」(通称WP29)で、日本が2022年から国際基準化を提案していた「ペダル踏み間違い時加速抑制装置」に関する性能基準の議論がまとまり、2025年6月にこの国際基準が発効される見込みになったと説明した。
これを受けて、同装置の国内基準を改めて整理して、国内での義務化に向けた準備を始めることになった。2025年半ば以降、日本ではメーカー各社の同装置に対する機能や性能が、国が定める一定の水準以上となり義務化されることになる。