シートのスライド量も仕様によって大きく異なる
2列目席シートスライドの前方ロック位置は2種類ある
3つめのトリビアは、2列目席(後席)をシートスライドさせたときにロックがかかる位置である。つまり、前方にスライドさせた際、きっちりシートが固定でき、座れ、走行できる位置のこと。それにも各仕様で違いがあり、キャプテンシート6人乗りは360mmのスライド量のうち前端20mmの位置でロックできないわずかなフリーの区間がある。240mmのスライド量をもつクロスターの2列仕様も前端20mmのみフリー区間でロックができない。
そして、ベンチシート7人乗りになると、240mmのスライド量のうち、前端100mmの位置がフリー区間となり、固定できない。つまり、座って走ることはできないのだ。
いい方を変えると、7人乗り2列目ベンチシート仕様だけ、シートを前方にスライドさせたときにシートを固定できないノッチなしのスライド位置、フリー区間が長いことになる。いったい、なんでだ?
じつは、ベンチシート7人乗りの2列目席240mmのスライド量のうち、前端100mmのフリー区間が設けられている理由はふたつあり、ひとつはシートベルト安全性能の確保のため。前端100mmの位置ではシートベルトの装着が難しいのである。
そして、もうひとつの大きな理由が、2/3列目席をつなげるシートアレンジの成立性にある。その際、2列目席を前端側にスライドした状態で背もたれを倒し、3列目席座面とつなげることで隙間のない2/3列目席フラットアレンジが可能になるのだ。2列目ベンチシートはノッチのない前端100mmのフリー区間内にあるものの、3列目席の座面が、倒した2列目席背もたれにピタリと押し当たることで2列目席を固定できるというわけだ(基本的に停車時にリラックスするためのフラットアレンジだ)。
かなりマニアックな話ではあるものの、このタイプの2列目席を前端付近までスライドさせたとき、あれっ、固定できない……壊れているの? なんて誤解しないように、新型フリードのトリビアとして報告しておくことにした。
エアコン操作パネルは2種類ある
最後のトリビアは、エアーとクロスターの3列シート車に設定されるリヤクーラーの操作パネルまわりについて。エアーEXとクロスターの3列シート車にクラス初、フリード初のリヤクーラーが標準装備されたのは大きなニュースであり、暑い時期の2/3列目席の空調環境、快適性に大いに役立つものだが、一方で、新型フリードでは、クロスターのみに用意される2列シート車にはリヤクーラーは装着されない。アウトドア、車中泊に適するモデルだけに、こちらにもリヤクーラーが欲しいという要望が出てくるかもしれない。で、トリビアは、リヤクーラー有り無しのセンターコンソールのエアコン操作パネルの違いについてである。
リヤクーラー装着車(エアーのEXとクロスターの3列シートモデル)のエアコン操作パネルは、メインのエアコン操作パネルの下にREAR CONTL(リヤコントロール)とREAR ON/OFFのスイッチが並び、ON/OFFが可能なほか、REAR CONTL(リヤコントロール)のスイッチを押し、上の風量調整ダイヤルをまわせば、リヤクーラーの風量まで前席で調整することができる。
一方、クロスターの2列シート車、つまりリヤクーラーなしの車両だとそこがどうなるかといえば、前席左右シートヒーター(エアーの4WD、エアーEXとクロスター全車に標準装備)スイッチの間にあったREAR CONTL(リヤコントロール)とREAR ON/OFFのスイッチがスカッとなくなっているのである。ちょっと寂しいので、クロスターの2列シートモデルのユーザーは、このパネルをデコってみるのはどうだろうか。
ちなみに、リヤクーラー装着車の場合、「リヤクーラーをONにすると前席のエアコン吹き出し口からの冷風が弱まるんじゃないか?」なんて思いがちだが(エアコン本体は1基。前席エアコンのACスイッチをOFFにするとリヤクーラーは送風、いわゆるサーキュレーター代わりとして機能する)、実際に気温33度の真夏日の走行中にリヤクーラーをONにしても、体感上、前席のエアコンの冷風、風量に変化は見られなかった。これはうれしい!