歴史的モデルが続々と登場!
そして日本のファミリーカーの概念を大きく変えた、1990年代のミニバンブームがある。
きっかけは1994年に発売されたホンダのクリエイティブムーバーの第1弾、いまでも多くのファンをもつ、ワンボックスカーではない乗用車ベースのミニバン、「多人数乗用車」のパイオニアといえるホンダ・オデッセイ、そしてホンダ・ステップワゴン(1996~)である。そしてトヨタ・エスティマ(初代1990~、2代目2000~)、日産エルグランド(1997~)、マツダ・ボンゴフレンディ(1995~)、三菱デリカスペースギア(1994~)、2000年代に入ってもトヨタ・ノア(2001~)といった多人数乗用車=ミニバンが、ミニバン専門誌が成立したほど、一世を風靡したのである。
結果、「とにかく3列シートを付ければ売れるはず」……という安易な発想で出てきた、3列目席があまり実用的ではないミニバンがこぞって出てきた時代でもあった。筆者はといえば、2代目オデッセイ・アブソルート(V6モデル)を気に入りすぎて10年ほど乗っていたのである。けっこう、ブームに乗っかったクルマ選びを、自動車業界に携わっているとはいえ、していたものだ……(ファミリア、BMW3シリーズ、USアコードワゴン、オデッセイ)。
ところで、昨今、空前のSUVブームだが、時を巻き戻せば、その発端は1990年代の日本のRV(Recreational Vehicle)ブームに遡る。しかし、意外なことにその火付け役は、1990年代に続々RVを投入した三菱自動車の車種ばかり。そう、ラリーでも大活躍のパジェロ(2代目1991~)、RVR(1991~)、パジェロミニ(1994~)、パジェロジュニア(1995~)である。そしてトヨタ・ハイラックスサーフ(2代目1989~)、日産テラノ(1986~)、スズキ・エスクード(1988~)なども人気だった。スキーブーム、サーフィンブームとの関連性も大いにあったはずである。1990年代にはジープ・チェロキー、ランドローバー・ディスカバリーといった輸入SUVも人気だった。
そしてRVからSUVブームと呼ばれるようになった橋渡しをしたのが、1994年登場の初代トヨタRAV4と1995年デビューの初代ホンダCR-Vである。コンパクトなボディによる扱いやすさ、乗用車ベースの走行性能&快適性、リーズナブルな価格もあって、日本だけでなく、北米を含む海外でもブレイク。両車はドレスアップのベース車としても人気絶大であった。
今日のSUVブームをけん引する、いまでも根強い人気を誇る都会派高級SUVのトヨタ・ハリアーも、振り返れば1997年のデビューだったのである。1990年代ファッションのサイズ感(オーバーサイズ)がいま、復活、というか主流になっているように、時代は繰り返すということか。