王者オデッセイに挑み開発されるもあえなく惨敗! 元祖オラ系ミニバン「日産バサラ」が悔し涙を飲んだワケ (2/2ページ)

圧倒的な収納の数とグレードの豊富さが武器だった

 インテリアもプレサージュの上級版として凝っていて、シートはたっぷりとしたサイズが奢られ、ツートーンカラーコーディネイトが基本で、木目調パネル&カーボン調パネルの採用のほか、ラグジュアリーパッケージ、本革パッケージもオプションで用意されていた。

 エンジンは3リッターV6ガソリン(VQ30DE)、2.4リッターガソリン(KA24DE )、2.5リッターディーゼル(YD25DDTi)の3種類を揃え、トランスミッションはフルレンジ電子制御 4速オートマチック(E-AT)。サスペンションはフロントが独立懸架ストラット式(FF/4WD)、リヤがマルチリンクビーム式(FF)、独立懸架マルチリンク(4WD)である。タイヤサイズはグレードによって215/60R15+アルミホイール、215/60R15+アルミホイール、205/65R15+フルホイールカバーの3種類だ。

 パッケージは2-3-3席の8人乗りと2-2-3席の7人乗りがあり、運転席はそれまでのトラック的ドラポジの1ボックスカーとは異なる乗用車的ポジションとし、90度近くまで開くリヤドアとセカンドシートウォークイン機構によって、2列目席、3列目席の乗降性にも配慮したものになっている。また、2列目席は着座可能域で300mmものスライド量を持ち、3列目席のマルチアップと呼んでいた左右跳ね上げ式の格納により、多彩なシートアレンジを実現していたのも大きな特徴。7人乗りを例に挙げると、2-3列フラットモード、1列目席と3列目席だけを使ったリムジンモードなどもあった。

 ただ、オデッセイに比べクルマの完成度では追いつかず、販売面でも苦戦したバサラだが、室内の使い勝手はなかなかなものだったと記憶する。それもそのはず。なにせ収納力がすごかったのだ。運転席パワーシート、シートヒーター、ガラスツインサンルーフ、セカンドシートバックテーブルを用意するほか、収納としてセカンドシート下トレイ CDが10枚程度入るインストロアボックス、運転席前のインストアッパーボックス、運転席シートサイドポケット、ラゲッジアンダーボックス、助手席買い物フック、助手席シートバック買い物フック、ユーティリティロープ(ラゲッジの荷物固定用)など、さまざまな機能が備わっていたのである。

 ちなみに、バサラはとんでもない数のグレードが用意され、そのなかにはキッズバージョンなる仕様もあり、汚れがつきにくく日常的な汚れなどは簡単に拭きとれる専用シート生地「カブロン(R)(合皮)」を採用もあった。

 とはいえ、エクステリアデザインの親しみやすさ、乗用車ライクな走行性能、2段フロアによる天井が低い室内高といった点でオデッセイに見劣りし、古いプラットフォームで中身はプレサージュそのものということからも人気は出ず(というか、このクラスの乗用ミニバンは初代、1999年12月登場の2代目オデッセイ一強の時代であった)、2003年6月のプレサージュのフルモデルチェンジ(2代目)のタイミングで、バサラは一代限りで消滅したのだった。よって、バサラというミニバンに記憶がない人も多いのではないか。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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