王者オデッセイに挑み開発されるもあえなく惨敗! 元祖オラ系ミニバン「日産バサラ」が悔し涙を飲んだワケ (1/2ページ)

この記事をまとめると

■日産のプレサージュにはバサラという上級モデルが存在した

■ライダーシリーズがあったほか多くのバリエーションや機能を備えていたのが特徴だった

■時代的にホンダ・オデッセイ一強だったこともあり一代限りで終わってしまった

プレサージュの上級モデルがあった

 日産のミニバン、バサラを覚えているだろうか。バサラは1999年10月に開催された第33回東京モーターショーに参考出品され、翌月の11月に発売された、日産ミニバンのプレサージュの上級モデルとして、サンスクリット語のBASSARA=黄金石、ダイヤモンドを語源とするネーミングが与えられたリヤヒンジ式ミニバンであり(婆娑羅じゃないですよ)、1994年に華々しくデビューし、日本の多人数乗車のパイオニア、ミニバンブームの火付け役として大ヒット作となった初代ホンダ・オデッセイに対抗するための1台だった。

 TV CMには、当時、全米で大ヒット中のYES(イギリスのプログレッシブバンドのイエス)の「ロンリーハート」が使われ、「そのスタイルは心の奥に火をつける」という仰々しいナレーションが響いていた。

 同じく日産のミニバンであるプレサージュの基本骨格を用いたボディサイズは、全長4795×全幅1770×全高1725mm、ホイールベース2800mm。ちなみに初代オデッセイは全長4750×全幅1770×全高1645mm、ホイールベース2830mmだ。

 つまり、バサラはオデッセイに対して全長が45mm長く、車幅は同じで、全高は80mmも高かった。じつは、その全高の高さはプラットフォームに由来している。ここからは話がちょっとややこしいのだが、初代プレサージュとこのバサラのベースは日産のルネッサというステーションワゴンであり、そのベースは北米で1997年に発売された、”もしトラ”ならぬ(!?) EVのAltra(アルトラ)なのである。AltraはEVゆえに床下にバッテリーを敷き詰めるため、フロアは高い2段構造に。だからフロアをプレサージュもバサラも高くせざるを得なかったのだ)そういえば、現行エルグラントやセレナもフロアの高い2段フロアである)。

 そのため、全高を1725mmまで高くしないとミニバンに必要な室内高が取れなかった、ということだろう(推測)。それでもオデッセイに比べ、室内高に余裕があったわけではないのだが……(それが不人気の理由でもあった)。

 エクステリアデザインは、今ではトヨタ・ヴェルファイアなどでそう呼ばれている「オラオラ」顔の元祖(!?)とも言える顔つきを備えていた。具体的にはアメリカンとも表現できるスモークメッキ調縦桟(たてざん)グリルがそれで、さらに大型バンパー、リヤビューでも縦桟基調リヤコンビネーションランプ、大型バンパー、リヤスポイラーがちょい派手な雰囲気を醸し出していたのである。

 ハイウェイスターが加わった2001年に設定された、日産のモータースポーツ&カスタマイズ部門のオーテックジャパンの手によるカスタマイズモデルの「アクシス」に至っては、上下2段に構えた、これぞビレットグリルという横桟(よこざん)グリルによって、さらにアメリカンで迫力ある強烈なオラオラ顔に仕立てられていたのだ。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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