国内外メーカーの開発競争に火を付けたSUBARUのアイサイト! クルマの安全&快適性を一気に進化させた偉大なる功績 (2/2ページ)

海外メーカーも運転支援技術の採用が相次ぎ技術革新が進んだ

 こうした技術領域の技術者が集まる各種会合に参加してきたが、2010年代前半時点で国内メーカー各社関係者は「アイサイトの成功が、国内市場での先進運転支援システムの進化を後押しした」という共通認識があった。

 一方、海外での先進運転支援システムのブレークスルーは、イスラエルのベンチャー企業「モービルアイ」だ。アイサイトが複眼のカメラ(ステレオカメラ)を用いるのに対して、単眼カメラによる画像認識技術がモービルアイのウリだった。

 同社のエルサレム本社を単独取材したことがあるが、同社創業者らは最初、日本各地を巡り自動車メーカー各社に技術支援を求めたが実現せず、唯一興味をもってくれた日本の大手部品メーカーの支援によって初号機を開発したという。

 その後、モービルアイは独自開発技術を確立し、ボルボやGMなど欧米企業が先進運転支援システムとして採用して一気に需要に火がついた。

 2010年代半ばになると、欧州の新車アセスメントであるユーロNCAPで、歩行者保護の観点で予防安全技術が試験項目に加わったことをきっかけに、日本を含めたグローバルでのNCAPで予防安全技術が重視されたことで、日米欧韓中を主体としたメーカー各社の先進運転支援システムの進化が早まり、技術的にも以前に比べてメーカー間の技術の差が少なくなっていく。

 さらに、国連の欧州委員会における自動車基準世界フォーラム(通称WP29)で、先進運転支援システムを含む広義での自動運転技術に関する国際基準や標準化の議論が高まっており、日本と海外での同分野の技術の差は以前より少なくなったといえる。

 それでも、いまだに先進運転支援システムでは、メーカー間の技術差は存在し、ユーザーはその効き味の差を実感することができることも事実だ。


桃田健史 MOMOTA KENJI

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