この記事をまとめると
■エンジンのスペックは同じでもギヤの組み合わせで駆動力が変わる
■ファイナルギヤのギヤ比は4.0前後が主流とされている
■設定次第では加速重視やトルク重視にできる一方で燃費や騒音が悪化するケースもある
ファイナルギヤってなに?
エンジンのトルクは、低回転から回転数が上昇していくにつれて、増していくが、ある回転数をピークにトルクは次第に小さくなっていく……。
十分なトルクが発生するおいしい回転数は限られているので、そうした理由からクルマにはたくさんのギヤが組み込まれている。
低いギヤは駆動力が大きい反面、エンジンがすぐに吹け切ってしまい、車速が伸び悩んでしまうので、高いギヤへのシフトアップが必要になるからだ。
つまり、エンジンのトルクは同じでも、ギヤの組み合わせで、駆動力は変わってくるということになる。
たとえば1速のギヤ比が3.214だったら、エンジンのトルクはここで3.214倍に拡大される。そしてこのトルクは、そのままタイヤに伝えられるわけではなく、次にデフにつながって、デフにあるもうひとつのギヤで、減速=トルク拡大をして、最終的にタイヤに伝達されて、駆動力になる。
このデフと一体になっている最終減速機のことを、ファイナルギヤと呼ぶ。
要するに、トランスミッションとファイナルギヤのふたつのギヤが、エンジンの力の拡大装置だと思えばいい。
ファイナルギヤのギヤ比は4.0前後が主流なので、エンジンのトルクは、まずミッションで3.2倍(1速)に拡大され、それがファイナルギアでさらに4.0倍になって、タイヤに伝わることになっている。
スカイラインGT-Rのファイナルギヤは4.111。トヨタ86だと4.100などで、スポーツカーだとこのぐらいのギヤ比が一般的。
実用車だと、駆動力を重視して、4.3や4.5、4.7と減速比が大きいものを採用する傾向がある。
チューニングの手法として、あえてファイナルギヤの減速比を大きくすることで、コーナーのボトムスピードの回転数を高くして、立ち上がり加速を鋭くしたり、1速高いギヤを使える時間を長くするといったことも可能になるので、NAエンジンの小排気量車などでは、ファイナルギヤ変更も割と身近なチューニング。
一方で、ファイナルギヤのギヤ比が大きくなると、高回転がキープしやすくなる反面、燃費が悪くなったり、最高速が伸びなくなったり、ノイズが大きくなったりするのは、トレードオフだと思って妥協するしかない。
逆に4.3ぐらいのファイナルギヤを、4.1ぐらいにして、ストレートで各ギヤの引っ張りを伸ばすという考え方もありだ。