デコトラに付いてる兵器のような筒って何? その名も「バスロケット」の正体とは (2/2ページ)

機能を持たない「バスロケット」も存在した

 冷気は室内に送られるのだが、その性質上、上部から送風をする必要がある。そこで天井部に冷気送風用のダクトが必要になったのだ。しかし、室内にそれを配するとその分天井が低くなる。そこでダクトの配管を屋根の上に持っていくことで、天高を確保して室内の居住性を高めたのだ。この措置が必要だったのは、同じ客が乗車して長距離を走る観光バス・高速バスに限られ、頻繁に乗客が入れ替わる路線バスには必要がなかったのである。

「バスロケット」という名称は、見た目からつけられたという。観光バス・高速バスで各社が採用したのは、そのデザイン性の高さにも理由があるのだ。車両のカッコよさは、バスの魅力となって集客につながるからである。ゆえに、はとバスに続いて他社が採用した「バスロケット」のなかには、クーラーダクトとしての機能を持たない飾りだけのものもあった。形状も長い(はとバスのものはバスの全長に匹敵)楕円柱状のものとは限らず、短いタイプ(バス全長の3分の1以下)や大きさがマーカーランプ程度のもののほか、四角柱に文字飾りを入れたモデルが登場するなど、デザイン性を重視する傾向が強くなっていった。

 現在、本家のバスで「バスロケット」が見られなくなったのは、外観デザインの流行変化という面もあるのだろうが、ダブルデッカーやハイデッカーが登場したことで、室内高の確保が必要になったことも大きい。

 とはいえ、昭和レトロな雰囲気を持つ「バスロケット」に、ノスタルジックな想いを持つ人は少なくない。アートを楽しむトラックドライバーの間で支持されているのも、納得できるパーツだといえるのではないだろうか。


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