デコトラに付いてる兵器のような筒って何? その名も「バスロケット」の正体とは (1/2ページ)

この記事をまとめると

■荷台の上部に楕円柱の筒のようなものを積むデコトラを見かける

■筒のようなパーツは「バスロケット」と呼ばれる

■もともとはバスに搭載されたクーラーのダクトだ

レトロタイプのデコトラが搭載する「バスロケット」

 車両を派手に飾って楽しむデコレーショントラック(デコトラ、アートトラック)のなかには、荷台の上部に細長い楕円柱(円柱・四角柱のものもある)の筒を搭載していることがある。これはレトロタイプのデコトラに見られるパーツで、「バスロケット」と呼ばれているものだ。デコレーションパーツにはバス由来のものが多くあり、これ以外で有名なのはキャビン正面に飾る「バスマーク(バスマークアンドン)」だろう。いずれも、見た目のカッコよさが支持される由縁であり、嗜好品であるから理屈で説明のできるものではない。

 いまではこの「バスロケット」が、本家であるバスに搭載されているのを目にすることはほとんどない。バスの世界では、すでに過去のものになっているのだ。初めてこれを採用したのは「はとバス」で、1971年ごろのことだといわれている。その後、観光バス各社で取り入れられていったが、路線バスでは搭載されることがなかった。

 このパーツの正体は、クーラーのダクトである。バスをはじめ自動車全般の空調は暖房と冷房が全く違うシステムで稼働(電気自動車は共通システム)しており、暖房はエンジンの排熱を利用している。冷房はエンジンでコンプレッサーを回し、冷媒ガスを圧縮したあと熱交換を行うことで冷気を生み出す。ちなみにバスの場合、コンプレッサーを回すエンジンは走行用のものを使う場合(機関直結式冷房装置)と、サブエンジンに頼る場合(独立機関式冷房装置)があった。これは走行用エンジンにかかる負担の問題であったため、高出力エンジンが主流となってからは機関直結式冷房装置が主流になっている。


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