通信エラーで決裁できない! 目的地を入力しても遠回りルート!? 便利なようでいまひとつなタクシーアプリに感じる日本のデジタル化のちぐはぐさ (2/2ページ)

タクシー配車アプリに全幅の信頼を寄せられない事情

 当時に比べれば通信環境はだいぶ変わっただろうが、仮に混乱に乗じた不正使用防止のためのシャットダウンとなれば、通信環境の進化は関係なくなる。筆者はこの経験もあるので一定額以上の現金を常にもち歩くようにしている。

 さらに遡ると、タクシーにクレジットカード決済機が導入されたころには、地域によっては通信状況が悪く決済ができないほうが多かったということもあった。

 タクシーのスマホ配車システムは急速に普及しており、少し前にはスマホで配車要請がなかなかできなかった筆者の自宅周辺も、サービス加盟事業者が増えたいまでは繁忙時間帯以外ではすぐに配車マッチングできるようになっている。ただ、サービスネットワークが広がるなかで、その運用管理にバラつきがあるようで、今回体験したようなシステムトラブルがときおり発生しているようにも感じている。

 外気温が40度にもなろうかという高温多湿の日に駅最寄りのスーパーで買い物をしたあと、駅前のタクシー乗り場へ行こうとしたのだが、暑さに耐えられず(乗り場へ行ってもタクシーがいる可能性も低かったので)、その場でスマホでタクシーの配車要請を行った。到着したタクシーに乗り込むと、「せっかく目的地を入力してもらっているので……」と、何やら画面操作をしていた。

 どういうことかと聞くと、お客が入力した目的地は表示されるのだが、そこまでのルート案内を地図画面に引くかどうかは運転士の任意判断になっているとのことであった。ルートを引いたあとも、「ルート案内とは異なる経路で行きますね」というので、詳しく話を聞くと、必ずしも最短距離でルート案内してくれるわけではないというのである。確かにそのときも、いつも運転士さんが使うルートとは異なる遠回りのルートを引いていた。地図画面通りに進むと、数百円は料金が高くなるとのことであった。

 いままで都内などで利用していても、スマホで目的地を入力しているのに、行き先を確認されたり、ルート確認されたりして不思議に思っていたのだが、その理由がシステムに頼り切ることができない事情があったことがわかった。

 タクシーの運行にあたっては、乗客に経路確認するのだが、原則最短ルートで目的地に向かわなければならない。ただ、自動で地図上に引いたルートは運転士が見ればすぐわかるほど迂回しているケースも多いようである。

「道を知らない新人運転士は地図上のルート案内にそのまま従うケースが多いので結構トラブルになっているようだ」ともその運転士は話してくれた。スマホで配車要請して乗車したときも、初めて訪れる場所ではお手上げだが、わかるところならば自分でルート指示をしたほうがいいようである。

 日本のデジタル社会化は通信インフラはじめ、個々でチグハグな部分があるなと感じるのは筆者だけの過剰反応なのだろうか。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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