この記事をまとめると
■マツダ・ファミリアの長い歴史のなかにはカブリオレも存在していた
■6代めファミリアに設定されたカブリオレはオープン時にもBピラーを残すことでボディ剛性を確保していた
■ファミリアカブリオレで培ったノウハウが後に登場したロードスターに受け継がれた
マツダの大衆車ファミリアに用意されたお洒落カブリオレ
マツダの現行車種としてはキャロルに次ぐ長い歴史を誇るファミリア。ただ現在はプロボックスのOEMモデルであるファミリアバンにのみ、その名前を残すこととなり、実質的な後継車種はMAZDA3が受けもっている。
そんな長い歴史をもつファミリアには、これまでにさまざまなボディタイプが用意されてきたが、6代目にのみ設定されていたのがオープントップをもつカブリオレだ。
1985年1月に登場した6代目ファミリアに遅れて追加されたカブリオレは、1986年3月に登場。スポーティなイメージの強い6代目ファミリアということもあってか、1.5リッターターボエンジンと5速MTのみの組み合わせとなっていた(翌年には1.6リッターのDOHCエンジンに変更し、4速ATを追加するが)。
スタイルは、当時のもう一台の国産オープンカーとしてラインアップされていたホンダ・シティカブリオレと同じく、Bピラーを残してボディ剛性を確保する形状となっていたが、折りたたんだソフトトップ高はわずか100mmで、スタイリッシュなスタイルと後方視界の確保を両立していた。
4座オープンとなるシートは、フロントがバケット形状のスポーティなものとなっており、表皮は撥水加工済モケットで、コンビネーションスイッチなどには防水シーリングを追加。インテリアの形状は基本的に通常モデルと共通となっていたが、グローブボックスや可倒式シートバックはキー付きとなって防犯性を高めていた。
1.5リッターターボエンジンは100馬力/15.2kg-mと現代のレベルではそこまで高出力とはいえないかもしれないが、ターボラグの少ないレスポンシブなエンジンとされており、ブレーキにはフロントにベンチレーテッドを採用した4輪ディスクブレーキが採用され、スポーティさを演出。
ボディもロールバー形状に残されたBピラーのほか、フロントメンバーの追加やサイドシル、フロントタイヤハウスなどにも補強を追加することで、オープンボディとは思えないほどの高剛性ボディを実現したとされていた。
なお、この世代のファミリアは日本フォードブランドからレーザーとしてもOEM販売されていたが、カブリオレもしっかりOEM販売がされている。
残念ながらファミリア/レーザーのカブリオレはそこまでの大ヒットモデルとはならなかったが、ここで培った経験やノウハウがのちに登場するRX-7カブリオレや、ユーノスロードスターに受け継がれたことは間違いないだろう。