セカンドジェネレーションでプレミアムSUVとして大きく飛躍
ボディデザインは現代のGクラスの原型であることに異論はなく、実際にそのコクピットに身を置いてみれば四方の見切りのよさには感動させられるし、また前後のオーバーハングを切り詰めることで生まれた、大きなアプローチ&デパーチャーアングルは、オフロードでの走破性を高めることに大きく貢献している。
ゲレンデヴァーゲンは、メルセデス・ベンツが予想したとおり、市場でカスタマーから確かな支持を得ることになった。その高価な価格設定は、逆に独自のプレステージ性を生み出し、メルセデス・ベンツはゲレンデヴァーゲンを高級オフロードビークルとして、現代流に表現するのならばプレステージSUVとしてさらに進化させるために、1982年になるとその担当部門を、それまでの商用車部門から乗用車部門へと変更。市場で望まれる性能を、さらに追及していく方針をより強く打ち出したのだ。
ちなみに日本市場へのゲレンデヴァーゲンの正規輸入が開始されたのはその後、1987年を迎えてからのこと。ファーストモデルとなったのは「230 GE」のショートボディと、「300 GD」のロングボディの2車種だったが、これを皮切りに廉価版の「230 GEアンファング」など、さまざまなモデルが販売され、高い人気を博していった。
初代ゲレンデヴァーゲンはメルセデス・ベンツの車内型式ではW460型と呼ばれるが、それは1989年にセカンドジェネレーションとなるW463型へとモデルチェンジされる。
このW463型でのもっとも大きな技術的特長は、4WDシステムが、それまでのパートタイムからフルタイムへと変更されたこと。コクピットには3モードのデフロックスイッチが与えられ、それによって前後、センターのデファレンシャルを各々電動でロック、アンロックすることが可能になる。
日常的な実用性やラグジュアリー性とともに、ゲレンデヴァーゲンはセカンドジェネレーションに至っても、そのもっとも重要な性能である走破性をさらなる高みへと導くことを忘れてはいなかったのだ。
そして1994年、ゲレンデヴァーゲンには正式に「Gクラス」の車名が与えられることになる。AMGモデルやV型8気筒エンジン搭載車がデビューしたのもこの世代からだ。
その後も2001年のマイナーチェンジでは、全モデルが5速AT化されるなど、着実な進化を遂げてきたGクラスだが、2018年にはフルモデルチェンジに近い、大幅な改良が加えられている。
アルミニウムなどの素材を使用したことによるボディの軽量化や9速ATの採用。ステアリングもラック&ピニオン式を導入した。外観ではフロントマスクのデザインやリヤコンビネーションランプのLED化などで新型の識別ができるほか、ボディサイズも従来型から大型化されているのも見逃せないポイントだ。
Gクラスは最初に触れたとおり先日、またもや最新のモデルへと進化を遂げた。時代の要求に応えるかのようにBEVさえも用意される新型Gクラス。それはまさに偉大なるオフロードビークルであり、また現代においてはプレミアムSUVにほかならないのだ。