まるで二輪車のような爽快感!
さて、スリングショットの全長は3800mm、対してホイールベースは2667mmですから、比率1.42となりスポーツモデルとしての資質はそこそこありそう。コストを引き上げるカーボンマテリアルは不使用ながら、車重は753kgとなかなかの軽量級。運動性能には期待が持てますね。
実際、スリングショットをサーキットで走らせたプロドライバーのインプレッションでは「ドライバーの体重移動を加えることで、まるで軽量なオートバイを走らせているかのような一体感が得られる」みたいなコメント。ヒラヒラと意のままに動いてくれるニュアンスがにじんでいますね。
搭載されるエンジンは、当初GMのエコテック(2.4リッター直列4気筒DOHC:最高出力173馬力/6200rpm、最大トルク22.9kgm/4700rpm)が選ばれていましたが、生産中止に伴って自社製エンジンに変更されています。スノーモービル「プロスター」から流用した直列4気筒2リッターエンジン(203馬力/195Nm)は、パワーもさることながら、ATV(全地形対応車)にも採用されるほど信頼性の高いもの。バックが軍需産業というのはこういうときにありがたいわけですね(笑)。
ちなみにこんなスタイルですが、アメリカ国内の衝突安全基準をクリアしており、公式にはバイクですが堂々と公道を走ることができるのです。
とはいえ、ドアもなく、フロントスクリーンも乗員の胸あたりまで(笑)。ルーフをつければタイヤが段差を越えるたびに頭をぶつけるほどタイトな乗りものです。そのうえ、シートの背後にはリジッドマウントされたかのようにうるさくて振動の多いエンジンが鎮座するわけですから「ハードでストイックな乗りもの」と評されるのも頷けます。
それでいてインテリアは、センターディスプレイ、バックカメラ、6スピーカーを装備(一部オプション)とカタログにうたうあたり、強烈な洒落が効いているといわざるを得ませんね。
軽量、かつ好バランス、そして活気のあるエンジンとくればゼロスタートが印象的なこと間違いありません。パワーウエイトレシオは3.7馬力/kgですから、ちょっと速いスーパーセブン並み、つまりは一般的なクルマを秒でブチ抜く実力のもち主ということ。
現在、アメリカ本国からリリースされているスリングショットはスペシャルエディションを含めて5グレードという充実ぶり。前述のとおり、オプションやアパレルも豊富なので、我こそはと思う方はぜひ手に入れてみてはいかがでしょう。スリングショットで峠道をグイグイ走っていれば目立つことはもとより、快哉の叫びで喉が枯れるほどかもしれませんよ!