買うなら「ノアヴォク」か「セレナ」か「ステップワゴン」か? 人気Mクラスミニバンをシートもラゲッジも走りも装備も忖度なしで徹底的に比べてみた (1/2ページ)

この記事をまとめると

■Mクラスボックス型ミニバンは国民的ファミリーカーといわれるほど定番だ

■Mクラスミニバンは3メーカーの車種が主となりしのぎを削る

■3モデルを走りや使い勝手などで徹底比較した

Mクラスミニバンを徹底比較!

 1996年に発売された初代ホンダ・ステップワゴンの登場以来、Mクラスボックス型ミニバンは国民的ファミリーカー、多人数乗用車の定番となっている。そのカテゴリーにはステップワゴン、ノア&ヴォクシー、セレナが揃い、現行型はノア&ヴォクシーの4代目が2022年1月、サイズアップしたステップワゴンの6代目が2022年5月、セレナの6代目が2022年12月に発売され、いずれも最新モデルとなっている。

 さて、この3車、どれが買いかといえば、使い方によって答えは変わる。エクステリアデザインの洗練度、質感、顔つきの迫力、押し出し感を望み、先進運転支援機能の充実度ならヴォクシーが最適だ。燃費性能最優先でもノア&ヴォクシーのハイブリッドが23.0km/Lを誇り他をリード。EV走行を粘り強く行うのもトヨタのハイブリッドの特徴である。

 運転初心者で、駐車や狭い道の走行がしやすいミニバンがほしい、というならセレナのハイウェイスターで、3ナンバーながら基本ボディは5ナンバーサイズ(同じ基本ボディを採用するガソリン車は5ナンバーだ)。または全長が4830mmに達するステップワゴンより大きくないノア&ヴォクシーだ。もっとも、全車3ナンバー、全長4830×全幅1750mmと大型化したステップワゴンも最小回転半径5.4mと比較的小まわりが利くので、慣れれば問題はないだろう。

 ミニバンの特等席となる2列目席の乗降性、豪華さ、居心地のよさで選ぶのであれば、ノア&ヴォクシーとステップワゴンの2列目キャプテンシート仕様である。スライドドア部分のステップ/フロア高はステップワゴンが390mmとフロアへの段差なし。ノア&ヴォクシーが380mmでこちらもフロアへの段差なし。一方、セレナのみ、1段目のステップは390mmながら、フロアはそこから95mm高い位置にある2段ステップとなるからだ(フロアそのものが高い)。

 また、セレナは全車8人乗り(2-3-3席)で、2列目席は前後にスライドするスマートマルチセンターシートによってベンチ、キャプテンの両方のシートレイアウトをもつものの、キャプテンシート化したときのかけ心地の贅沢さでは、完全なキャプテンシートのステップワゴン、ノア&ヴォクシーに敵わない。

 ちなみにステップワゴンのキャプテンシートは横スライドが可能で、やや横狭のベンチシートにもアレンジできる。ノア&ヴォクシーの先代2列目キャプテンシートは横スライドできたのだが、現行型ではストレート超ロングスライド機構を採用したため、横スライドはできなくなった(ベンチシート化不可/ほかにベンチシート仕様がある)。

 いま、アウトドアがまだまだブームとなっているが、このMクラスボックス型ミニバンでアウトドア、そして車中泊を楽しみたいなら、3車ともにシートのフラットアレンジで車内をお座敷化、ベッドルーム化することはできるのだが、お薦めはセレナだ。2/3列目席をフラットアレンジしたときのフラット度、段差の少なさで圧倒し、2150mmに達するベッドスペースは、マットレスなしでも快適に寝られるスペースが出現。バックドアのウインドウ部分だけ開閉できるデュアルバックドアの仕立ても、アウトドアで車内で過ごす際、換気面で有利。

 さらにノア&ヴォクシーのハイブリッドとセレナノア&ヴォクシーe-POWERモデルにはAC100V/1500Wコンセントが用意され、車内外で1500Wまでの家電品(コーヒーメーカーや湯沸かしポット、簡易電子レンジなどが使える)の使用、ノートPCの充電も可能になるからだ。ステップワゴンはハイブリッドのe:HEVモデルを選んでもAC100V/1500Wコンセントの用意はないのである。AC100V/1500Wコンセントはアウトドアだけでなく、災害時にも役立ってくれることも忘れてはいけない。AC100V/1500Wコンセントが欲しい……というならノア&ヴォクシーのハイブリッドかセレナのe-POWERということになる。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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