この記事をまとめると
■1970年代から90年代までコンパクトカーとして人気を博したトヨタ・スターレット
■スターレットは現在も南アフリカのトヨタで新車として販売されている
■南アフリカのスターレットはスズキ・バレーノのOEMモデルだが幅広い層から人気を集めている
海外で生き残っていたトヨタ・スターレット
おー、スターレットだ。南アフリカのトヨタのホームページ、そこで表示されるモデルラインアップにスターレットの名前を見つけた。
スターレットと聞いて「懐かしい」と思う世代もいるだろうし、または「はじめて聞いた、海外向けの新モデル?」と捉える若い世代もいるかもしれない。
改めて簡単に説明すると、スターレットは1970年代から90年代まで、日本市場では幅広い世代で安定した需要があったトヨタのコンパクトカーだ。
初代は、1960年代から70年代にかけて「カローラ」とともにトヨタの事業基盤を築いた「パブリカ」から派生したクーペだったが、スターレットという単独のモデル名としてスタイリングも刷新された2代目の存在が大きかった。筆者も1980年代の違う時期に2台のスターレットを個人所有していたことがある。
そんな2代目スターレットは、トヨタの関連スポーツクラブなどが主催する、ジムカーナやスターレットカップ(ノーマル車、および当時のTS仕様)など、モータースポーツ領域でも活躍した。だが、1990年代以降になると、国内市場の変化やトヨタ事業のグローバル化などによって、スターレットの存在価値や意義が、日本のユーザーの感覚から少しづつ離れていった印象がある。
日本でのトヨタコンパクトカーは、ヴィッツ、そしてヤリスへという変遷を辿る。
そんなスターレットだが、南アフリカで販売されているモデルは、スズキからOEM(オリジナル・イクイップメント・マニュファクチャーリング:相手先ブランド名製造)されたもので、スズキでの「バレーノ」にあたる。バレーノは2016年から2020年にかけて日本で販売されていたことが記憶に新しい。
スズキがインドを中心に展開したグローバルモデルであったが、先進的運転支援システム(ADAS)が他社モデルと比べると装備内容が少ないなど、日本市場へのマッチングは甘かったことなどから、日本への投入が終わってしまったハッチバックモデルである。
日本では需要が少ないコンパクトハッチバックだが、南アフリカなど仕向地によってはいまだに若い世代からシニア層まで根強い人気があるエントリーモデルだ。
そうしたなかで、トヨタとしてはインドでのEV製造開発を含めて、グローバルで多様な事業連携を行っているスズキから、グローバルなコンパクトハッチバックモデルであるバレーノをベースに、アフリカでもブランド力があるスターレットの名前を掲げているのだ。