日本におけるスポーツカーの命綱は「軽量」と「MT」! 国産のハイブリッドスポーツが登場しない至極納得な理由 (2/2ページ)

ハイブリッド化するとMTモデルの設定が難しくなるのが問題

 とはいえ、今後は欧州EURO7を筆頭にグローバルで燃費規制がさらに厳しくなることが確実視されているなか、内燃機関だけでスポーツカーを維持することのハードルは上がる。

 そこでよく話題に出るのが、48Vのマイルドハイブリッド化だ。ただ、それでも重量増になることは避けられず、「車両設計としては大幅な見直しが必須」と指摘する自動車メーカーのスポーツカー担当エンジニアは少なくない。

 それでも、モデルによってはマイルドハイブリッド化する日本車スポーツカーが登場する可能性は完全には否定できないだろう。

 あわせてハイブリッド化の課題となるのは、マニュアルミッション(MT)だ。多くのハイブリッドシステムは、変速機にオートマティックトランスミッション(AT)または無段変速機(CVT)を採用している。同じメーカーで他モデルとスポーツカーとのハイブリッド機構を共通化すれば、自ずとMT設定が難しくなってしまう。

 ただし、マイルドハイブリッドでもモーター出力が比較的大きく設定できる場合、スポーツカー向けMTへの対応が可能な場合もある。

 事例としては、スズキが7月に実施した次世代技術説明会で公開した、1.2リッター直列3気筒エンジン+48Vマイルドハイブリッドシステムの参考展示で、スズキの開発者から「MTとの相性も良い」との説明があった。

 海外ブランドでは、スポーツモデルが早くからAT化する傾向もあったため、ハイブリッド車やEV(電気自動車)への移行に対して、ユーザーの心のハードルが日本車スポーツカーと比べると低かったのかもしれない。

 こうした状況で、直近ではカーボンニュートラル燃料への期待も高まっている。燃費およびCO2排出量の規制に対して、内燃機関スポーツカーが今後も生き残り続ける可能性も考えられる。

 いずれにしても、日本車スポーツカーにとって環境規制のハードルがさらに上げがることは間違いない。


桃田健史 MOMOTA KENJI

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