ぶっちゃけ新車販売だけじゃ食べていけない! いま新車ディーラーが「中古車販売」に力を入れるワケ (1/2ページ)

この記事をまとめると

■新車ディーラーの再配置が近年目立っている

■新車販売だけでは採算が取れずメンテナンスや中古車部門が重要視されている

■残価設定ローンで販売したクルマはディーラーが再販までを見据えているケースがある

ディーラーは新車販売だけでは食べていけない時代!

 筆者の生活圏では新車ディーラー店舗の「再配置」が目立っている。新車販売が伸び悩むなか、そして働き手不足もあり、いまどき店舗の新規追加出店というものはまず行われない。「あれっ、こんなところにあったかな?」と感じた新しい店舗を訪れ話を聞くと、近所の生活道路沿いにあった古い店舗をバイパス沿いに移転させたと教えてくれた。このようなケースは筆者の生活圏では最近数店舗行われている。

 また、新たに鉄道が開業し、沿線開発が進むなか新たなニュータウンができ始めると、メーカーを問わず、既存店をその新興開発地域へ移転させることで新たなディーラー街ができていたりもしている。かつて1990年代に宅地開発が盛んであった地域に店舗を構えるディーラーでは、「当時のニュータウン居住者向けに出店したと聞いています。しかし、出店から30年以上が経ち、住んでおられるみなさんも高齢化が目立っております。この店舗でおクルマを継続的に買っていただいているお客様のなかでも、運転免許の自主返納などでクルマの所有をやめられる方が増えております。バイパス沿いに出店しているわけでもなく、ポツンと店があるのでほかの地域から足を運んでいただけるお客様は期待できません」とのことであった。

 過去に宅地開発された際に出店し、いまでは顧客を求めて少し離れた新たに造成されたニュータウンにチラシのポスティングなどで遠征して販売促進活動を行っているという店舗の話も聞いている。

 既存店の「引っ越し」という形で新規オープンした店舗の多くでは、広めの中古車展示場を併設していることも多い。ただ、部材費や流通コストの上昇に歯止めがかからないなか、新車も価格引き上げを行っているが、コスト上昇分を十分吸収するには正直至っていない。ただ、このような状況になる前から、新車販売による利益がカスカスであったので、点検・整備などのメンテナンス部門の収益に注目していた。

 しかし、安全運転支援デバイスの普及もあり、貴重な収益源であった板金修理が激減し、メンテナンス部門でも部材費や人件費高騰(メカニックはとくに離職が激しい)などもあり、それほど収益は見込めなくなっている。なので、新車ディーラーであっても最近は中古車販売に力を入れているのである。中古車は「古物」となり、同年式同型車であっても、走行距離やボディカラーによって販売価格は異なる。つまり、価格設定の自由度は新車よりはるかにあるので、当然販売する「うまみ」も大きいのである。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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愛車
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乗りバス(路線バスに乗って小旅行すること)
好きな有名人
渡 哲也(団長)、石原裕次郎(課長) ※故人となりますがいまも大ファンです(西部警察の聖地巡りもひとりで楽しんでおります)

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