これぞホンダの真骨頂! 軽量&小型ボディにVTEC搭載の「ライトウエイトFFスポーツ」2代目CR-Xが胸熱すぎるクルマだった (2/2ページ)

機敏な走りは多くの人に愛された

 しかし、この「サイバースポーツ」CR-Xの人気を決定づけたのは、1989年9月に発売された「SiR」の存在だろう。姉妹車である4代目シビックと同時にマイナーチェンジが行われ、新グレードとして設定されたSiRは、新開発のB16A型ユニットを搭載。1.6リッターの排気量ながら最高出力は160馬力を発揮した。

 このB16A型ユニットに採用されたのが、可変バルブタイミング&リフト機構「VTEC」である。1本のカムシャフトに低回転域・高回転域それぞれ個別のプロフィールを設定し、エンジン回転数に合わせて自動的に切り替えることで低回転域・高回転域の両方でバルブタイミングやリフト量を最適化、全回転域で大きなパワー&トルクを発生させるもの。

 ホンダは、このVTEC機構を初めてB16A型ユニットに初めて採用し、まずは1989年に2代目インテグラに搭載。その後に4代目シビックと2代目CR-XのいずれもSiRグレードに搭載した。

 当時のB16Aは、最高出力160馬力/7600rpm、最大トルク15.5kg-m/7000rpmを発生。自然吸気エンジンながら排気量1リッターあたりの出力は100馬力を超え、天井知らずに吹き上がるエンジンフィールや、高回転域カムに切り替わったときのパワー感、それでいて故障にも強くタフであったことから、ストリートだけでなくモータースポーツでも活躍。とくにシビックSiRは、当時参戦していたグループAでときおり上位クラスを凌ぐ速さを見せ、その人気はますます高まっていった。

 シビックSiRとCR-X SiRは、基本的に同じ車体に同スペックのB16Aを搭載、足まわりも同様に4輪ダブルウイッシュボーン式サスペンションを採用していた。両車で異なっていたのはホイールベースで、CR-Xは2300mmであったのに対して、シビックは2500mm。CR-Xのショートホイールベースはクイックな操縦性に貢献し、一方コーナリング時の安定性はシビックが勝るという乗り味の違いをもたらした。

 その後、2代目CR-Xはボディカラーやホイールデザインの変更、ビスカスLSD装着などのマイナーチェンジを受けつつ、1992年2月まで生産された。シビックはひとあし早く1991年に5代目のEG型へとフルモデルチェンジが行われ、CR-Xも1992年3月に3代目モデルが登場する。車名が新たに「CR-Xデルソル」となった新型は、なんと開閉式トップを備える2シーター・スポーツへと大きく路線を変更していた。

 ロー&ワイドフォルムの3ドアハッチバックという、2代に渡ってCR-Xが築いてきたFFライトウェイトスポーツの歴史はいったん幕を閉じたものの、2010年にハイブリッドスポーツの「CR-Z」が登場。次世代ライトウェイトスポーツの方向性を示す1台として期待されたが、2017年に販売を終了して以降、後継モデルは発表されていない。


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