登場から10年弱を経てもイマイチ普及しないのはナゼ? 鳴り物入りで登場した「ETC2.0」の現状 (2/2ページ)

今後は自動運転車に対応した進化が期待されている

 そもそも、ETCとは、エレクトロニック・トール・コレクションシステムのことだ。トールとは、通行料金を意味するので、ETCとは自動で通行料金を収受する仕組みである。そのETCに、料金収受以外の目的で、道路側とクルマとの通信であるさまざまな路車間通信機能を負荷したのが、ETC2.0だ。

 ETC2.0のメリットとしては、さまざまある。

 前方での事故や落下物、またトンネル先などで豪雨や積雪などに対する注意喚起。

 東京や名古屋では、都市部の渋滞を避けて外環道などに迂回すると料金が2割引きになる。

 一部の道の駅を利用した際、高速道路を降りて同じ方向で再び乗っても初期料金が発生しない。

 といったものがあるのだが、本来はより多くの路車間通信を利用した機能を実装することが考えられていた。

 ところが、クルマと道路という限定した通信ではなく、スマートフォンから社会全体とつながることでさまざまなサービスを車内で享受できるようになり、またスマートフォンと車載器との連携も可能となった。

 さらには、車載器もAI(人工知能)を活用した音声認識技術が発達するなど、ETC2.0初期開発当時では想定していなかったような次世代のコネクテッド技術の進化がめざましい。しかも、ETC2.0車載器の本体価格はETCより割高だ。

 一方で、高速道路で自動運転トラックの社会実装が近く始まり、それにより高速道路に設置される路車間通信機器から得た交通関連情報を、自動運転車では普通のクルマに対してもいち早く走行中の車両に伝える手段としてなど、ETC2.0の役割も今後、進化することが考えられるだろう。


桃田健史 MOMOTA KENJI

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