宝石まで使った室内にそぐわない戦闘機っぷり! シロンを超えた6.5億円のブガッティ・トゥールビヨンの気絶しそうな中身 (2/2ページ)

車名にもなったトゥールビヨンを模したメーターパネルが見もの

 そしてインテリアのフィニッシュは、このエクステリア以上の驚きに満ち溢れている。ハイエンドな機械式時計の哲学を再現したともいえるメーターパネルは、600個以上もの部品から構成されたもので、チタンなどの軽量素材のほかに、サファイア、ルビーといった宝石も、スケルトンクラスターには惜しみなく使われている。その重量はわずかに700gというから驚きを隠せない。

 また、センターコンソールはクリスタルガラスとアルミニウムのコンビネーションによるもの。エンジンスタートのためのプル・レバーなどは、じつに複雑な動きでカスタマーを魅了する。

 シャシーとボディ構造もシロンから一新されたトゥールビヨンだが、使用されるコンポジット素材はT800と呼ばれる次世代のもの。サスペンションもシロンの前後ダブルウイッシュボーンから、同マルチリンクに変更されるなど、その進化は著しい。

 ブレーキにもカーボン・セラミック技術が導入され、さらにブレーキ・バイ・ワイヤも採用されることになった。タイヤはミシュランがこのモデルのために専用開発したパイロットカップ2で、サイズはフロントが285/35R20、リヤが345/30R21の設定だ。

 そしてトゥールビヨンで最大の話題となるのは、そのパワーユニットの構成だ。これまでW型16気筒+4ターボエンジンを使用してきたブガッティだが、このトゥールビヨンではそれがV型16気筒自然吸気エンジンに、パートナーのリマック社の存在を印象づける、フロントに2モーター、リヤに1モーターのハイブリッドのパワー・アーキテクチャーが採用されることになったのだ。

 V型16気筒エンジンの最高出力は8.3リッターの排気量から1000馬力。3つのモーターによる最高出力は800馬力となり、トータルでの最高出力は1800馬力を可能にする。エンジン重量がわずかに252kgに抑えられているのも、現在の段階で発表されているスペックのなかでは非常に興味深い数字といえる。

 ブガッティ・トゥールビヨン。そのキーを手に入れることのできる250人のカスタマーは、それでどのような走りを体験するのだろうか。その答えはあとわずか、前でも触れたように2026年まで待たなければならない。


山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ
趣味
突然思いついて出かける「乗り鉄」
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