この記事をまとめると
■三菱ジープは1953年から1998年まで生産が続いたご長寿モデルだ
■ウィリス・オーバーランド・モータースと三菱が提携してノックダウン生産を行なっていた
■1982年に初代パジェロが登場したことによってジープの販売台数は減少した
なんと45年も生産されていた日本車があった!
日本車の多くは5年前後でフルモデルチェンジするのが一般的となっているが(過去には4年でのフルモデルチェンジも珍しくなかったが)、近年ではそれ以上に長いモデルライフを誇る車種も珍しくなくなってきている。
現行モデルでとくにロングセラーとして話題に挙がるのが、2004年に登場して現在も現行車として一線級の人気を誇るトヨタ・ハイエースや、2007年に登場し、2025年8月の終売がアナウンスされているものの、いまだにトップクラスの動力性能を誇る日産GT-Rなどが知られるところだが、この2台が足もとにも及ばないほど長期間販売され続けたモデルが存在する。それが「三菱ジープ」である。
ジープというとラングラーやチェロキーなどをラインアップしているブランドのことかと思われる人もいるかもしれないが、三菱ジープのジープはまさにそのジープブランドの祖であるウィリス・オーバーランド・モータースと三菱が提携し、日本国内でノックダウン生産をしたものとなるのだ。
日本での生産は1953年からスタートし、当初はウィリス社から部品を丸ごと輸入して日本国内で組み立てるコンプリートノックダウン方式となっていたが、1956年には早くも完全国産化を達成すると、翌57年には生産累計1万台を達成するまでに至っている。
元々軍用車として登場したウィリス製ジープと同じく、日本でも自衛隊のほか林野庁などにも納入された三菱ジープは、1970年代初頭に三菱製のエンジンを搭載するモデルもラインアップされ、ボディタイプもウィリス直系のJ50系、ミドルホイールベースのJ20系、ロングホイールベースのJ40系、そしてワゴンタイプのJ30系とワイドバリエーション化がなされていった。
なかでも1975年8月にガソリン2リッターエンジンを搭載するモデルが追加されると、それまで事業用車両としての需要が多かったジープにレジャー用途の個人ユーザー層が増えたのである。
しかし、1982年に初代パジェロが登場すると、旧態依然としたジープの販売台数は減少の一途を辿り、1984年にはショートホイールベースのJ50系のみのラインアップに集約され、1994年7月からは2.7リッターディーゼルインタークーラーターボのみとなった。
そして1998年6月には三菱ジープの生産終了が決定し、「最終生産記念車」をリリース。
このモデルは専用色のウラルベージュとオリーブ色の幌及びシート表皮をもち、防錆鋼板を車体に採用して中塗り塗装、アンダーコートを追加するなど、「1台でも多く生き残ってほしい」という惜別の想いが込められた特別なものとなっていたのだった。