小型! 軽量! そして安い! クルマ好きのすべてが詰まったホンダCR-Xというまごうことなき名車 (2/2ページ)

99.3万円という衝撃のプライスだった

 シビックはすでにホンダの四輪事業を支える大黒柱となっていたこともあり、3代目モデルではボディサイズを拡大し、快適性や実用性が重要視された。そんななか、初代シビックの特徴でもあった「ライトウエイトFFスポーツ」を徹底して追求して誕生したのが、バラードスポーツCR-Xだ。

 最大の特徴は、テールエンドをスパッと切り落としたようなスタイリングとリヤシートをほぼ非常用と割り切った「2+2」レイアウトを採用したパッケージングにあった。ボディ外板やバンパーには複数の素材を組み合わせて使用し、徹底した軽量化が図られた。

 発売当初に用意されたのは1.3リッター/1.5リッターという2種類のSOHCエンジンで、前者が最高出力80馬力、後者は同110馬力を発揮。とりたてて目を見張るようなスペックではなかったが、車両重量は1.3リッター車が760kg、1.5リッター車でも800kgに抑えられたことから、優れたハンドリング性能を発揮した。

 そしてもうひとつ、バラードスポーツCR-Xにおいて特徴だったのは車両価格である。1983年に発売された当時、1.3リッター車(5速MT/ノーマルルーフ)が99万3000円。1.5リッター車(5速MT/サンルーフ付き)でも138万円に抑えられた。

 翌年1984年には、姉妹車であるシビックと同様に最高出力135馬力/最大トルク15.5kg-mを発揮する1.6リッターDOHCのZCエンジンを搭載したスポーツグレード「Si」が追加された。このSiは、走行状況によっては排気量の大きなスポーツモデルを上まわる走りっぷりのよさを見せただけでなく、14.8km/L(10モード走行燃料消費率)という経済性の高さもあって、若年層を中心に大きな支持を集めた。

 1985年にはマイナーチェンジが実施され、後期型へと進化。外観における特徴であったセミリトラクタブル・ヘッドライトは固定式へと一新されたほか、前後バンパーの大型化、サイドシルのデザイン変更などが行われた。トップグレードの「Si」では、内装およびメーターパネルにも変更がなされている。

 ライトウエイトFFスポーツという新たなジャンルを開拓したバラードスポーツCR-Xだったが、1986年には4ドアセダンのバラードが販売を終了。そのため、後継車の登場が心配されたが、1987年には単に「CR-X」という車名に改められた2代目モデルへと進化、その歴史は続くことになる。


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