BYDってBEVメーカーじゃなかったの!? じつはアジアや本国じゃBYDの「ハイブリッド」がバカ売れしていた! (2/2ページ)

10年に渡ってハイブリッドシステムを進化させ続けてきた

 BYDの歴史を紐解くと、量産型ハイブリッドを中国の国内向けに導入したのは2008年12月。セダンのガソリン車「F3」をベースとしたハイブリッドだった。

 当時、中国政府は「十城千両」と呼ぶ、電動車普及のための国家戦略を推進していた。中国の主要都市の十城(10都市)で千両(1000台以上の規模)の電動車を公共交通向けに広めるという意味である。

 そのなかで、「F3 DM」は、中国では異色の存在であり、個人向けというよりは自治体向けなどに限定して販売されていた記憶がある。同車のパワートレインは、直列3気筒・排気量1リッターのガソリンエンジンによるパラレルハイブリッドだった。電池は自社のリン酸鉄系リチウムイオン二次電池。

 その後、小型SUVの「S6」をベースとした「S6 DM」でシリーズパラレル方式を導入。パワートレインは直列4気筒・排気量2リッターに拡大された。電池の基本構造は「F3 DM」と同じ。同車は2011年の北米国際自動車ショー(通称デトロイトショー)で公開されている。

 このように、BYDはこれまで10年以上に渡り独自のハイブリッド技術を磨き、量産を重ねてきた。直近でのDMは第5世代にあたる。

 このようなBYDのDMシリーズ最大の特徴でありトヨタとの差は価格優位性だ。トヨタや欧州車のブラグインハイブリッドはEV並の高価格であるのに対して、BYDはガソリン車と比べてもさほど大きな価格差がないほどの戦略的な価格設定をしている。

 日本でも今後、市場環境を十分に見据えたうえで、BYDのDMシリーズが導入されることがあるかもしれない。


桃田健史 MOMOTA KENJI

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