名前からして最強感漂う「除雪グレーダ」! 男心をくすぐるフォルムの重機がもつ役目と強烈スペック!! (2/2ページ)

除雪時に運転するためには一定の経験年数が必要

■除雪グレーダのスペック

 あんまり見たことがないような形状をしているこの「除雪グレーダ」がどんなスペックなのか気になりますよね。わかる範囲でのスペックを紹介していきましょう。

 まず、この「除雪グレーダ」というのは、ほかの特殊な用途の重機と同様に決まった仕様の規格的なものがあるわけではなく、その地域の路面状況などの環境に合わせてサイズやアタッチメントをセットアップして作られるそうです。

 そのため、今回紹介する仕様はあくまでも山形河川国道事務所に配備されている個体のもので、ほかの地域のものとは同じとは限らないということを先にお断りしておきます。

 まず車体の大まかな寸法から。

 全長は約9.5mとかなりの長さがあります。トヨタのGR86が2台すっぽり収まると言えばその長さ感がわかるでしょうか。

 幅は約2.5mとなっていますが、これは車体部分の寸法で、お腹に抱えたブレードは標準的なもので約4.0mあるので、車幅感覚はかなりの熟練が必要そうです。

※写真は別モデル

 重量は約19トンです。大型観光バスの乗員を乗せた重量よりも重く、トヨタGR86換算で13台分以上になります。

 この重量を支えるため、車輪は重機仕様で6つ備えられています。

 16トンもの車重と、硬く固まった雪を掻き分けるための力を発生させるエンジンは、約1万2000ccのディーゼルユニットで、出力は約230馬力(169kW)と、トヨタGR86とほぼ同じくらいしかありません。

※写真は別モデル

 しかしこの種類のクルマでは馬力よりもトルクが最重要ですので、ハッキリとした数値は出ていませんが、それこそトヨタGR86の何倍ものトルクを発揮するでしょう。

 ちなみにその価格も気になりますが、山形河川国道事務所に配備されている個体の場合、細かいアタッチメントなどを除いて約4000万円ほどだそうです。トヨタGR86だともっとも高価な限定車で400万円ほどなので……はい、止めておきましょう。

■この特殊な機械はどうやって操縦するの?

 見るからに特殊な動きをしそうなこの「除雪グレーダ」ですが、どうやって操縦しているのでしょうか?

 まずクルマですから、車輪で前に進まないとなりません。しかもこの車両は滑りやすい雪の上を、固まった雪を削りながら進まないとなりません。しかも、平坦な道だけでなく、坂道も雪を掻きながら進まないとならないので、強大なトルクに加えて、8段の多段トランスミッションを備えています。

 最高速度は40km/hほどだそうですが、雪の圧との兼ね合いで絶妙な速度調整が必要になるでしょう。

※写真ば別モデル

 躁舵は見慣れた丸いハンドルで行って前輪を操作しますが、それに加えて細長いフレームの付け根が油圧で曲げられる構造になっていて10m近くある長い車体でも小まわりが利く構造になっているのですが、躁舵と首折れの両方を操作しての曲がる動作は、まず初見では無理でしょう。

 そして、その上に複雑で繊細なブレードの操作が加わります。そのブレード(と首折れ)の操作には、じつに10本のレバーを駆使しておこなうようです。

 交通の安全のためにはできるだけ雪を根こそぎ削り取ることが求められますが、無造作にブレードを押し付けても上手く削り取れないばかりか、ヘタをすれば高価なブレードや油圧機構を壊してしまう恐れもあります。

 なので、基本の走行の操作に加えて、路面と雪の状況に合わせてブレードを適正な角度と高さに調節しないとならないのです。

 しかもほとんどの場合は雪の降るなかでの作業で視界も良くないでしょうし、車両の形状から死角も多いでしょう。

 この除雪グレーダの運転には大型特殊免許がまず最低限必要となりますが、実際の除雪の作業に従事するには、上記理由によって一定の経験年数が必要となっているそうです。

 この記事を見たあとで実際の除雪作業に遭遇したら、その運転手さんに向ける目がそれまでとはちょっと違ってきそうですね。思わず敬礼してしまうかもしれません。


往 機人 OU AYATO

エディター/ライター/デザイナー/カメラマン

愛車
スズキ・ジムニー(SJ30)※レストア中
趣味
釣り/食べ呑み歩き/道の駅巡りなど
好きな有名人
猪木 寛至(アントニオ猪木)/空海/マイケルジャクソン

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