10年も輸入車トップを堅守! 日本でメルセデス・ベンツが売れるワケ (2/2ページ)

ディーゼルの充実とGクラスの存在

 また、メルセデス・ベンツは、これらのコンパクト/ミドルサイズSUVに、クリーンディーゼルターボを積極的に搭載して価格は割安に抑えた。日本車では、2010年代に入るとハイブリッド車を急増させたが、ディーゼルを豊富に用意したのはマツダのみだ。メルセデス・ベンツにはディーゼルが多く、実用回転域の余裕ある駆動力により、SUVとの親和性も高い。SUVとディーゼルの組み合わせが新しいメルセデス・ベンツの魅力になり、売れ行きも増えた。

 また、近年は輸入車、日本車ともにSUVが増えたが、その多くはメルセデス・ベンツならGLAやGLB、日本車ではハリアーやヤリスクロスなど、乗用車のプラットフォームを使ったシティ派SUVだ。これらが膨大に増えた結果、一種の反動で、SUVの原点とされる悪路向けのランドクルーザーやジムニーが注目されている。

 このニーズに沿って高い人気を得たのが、悪路向けSUVのメルセデス・ベンツGクラスだ。価格が1000万円以上の高価格車だが、2023年の輸入車/車名別販売ランキングで11位に入った。BMW2シリーズやVWポロよりも、Gクラスが多く販売されたのだ。

 以上のように、多岐にわたる理由によってメルセデス・ベンツの販売は好調だ。昔はセダンの上質なクルマ造りがメルセデス・ベンツの魅力だったが、いまは違う。存在感の強いフロントマスクと、それを助長するSUVの豊富なラインアップによって売れ行きを伸ばす。販売の増加に伴って、メルセデス・ベンツのブランドイメージも大きく変化してきた。


渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
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