この記事をまとめると
■電気の流れはマイナスからプラス極へ電子が流れることで発生する
■構造上モーターはプラスとマイナスが交互に入れ替わる交流だと都合がいいとされる
■EVのバッテリーはモーターを駆動するときには交流に切り替わり充電時は直流に切り替わる
「直流」と「交流」をおさらい
電気の流れは、負極(マイナス極)から正極(プラス極)へ電子が流れることで起こる。一方向へ流れる、いわゆる直流だ。しかし、家庭に届くのは、プラスとマイナスが交互に入れ替わる交流である。電池は直流で、電動機(モーター)は交流である。直流モーターもあるが、内部で電流を交互に切り替えて回転させている。
なぜ、電気にふたつの種類があるのか。
モーターの仕組みは、固定子と呼ばれる外側の筒状の枠組み(ステーター)と、その内側にある回転子と呼ばれる回転軸(ローター)で成り立っている。その両方とも、磁石でできている。
モーターに電気が流れ、回転軸がまわるためには、なかでプラスとマイナスの電流が交互に入れ替わらなければならない。
磁石は、プラス極とマイナス極を近づけると引き合う力が働き、プラスかマイナスか、同じ極同士が向き合うと、反発する力が働く。引き合ったり、反発したりを交互に働かせることで、モーターの軸は回転している。
このため、モーターは、プラスとマイナスが交互に入れ替わる交流だと都合がよい。直流モーターの場合は、その入れ替わりをモーターの内部で操作している。
じつは、モーターと発電機は同じ構造だ。水力や火力や原子力といったエネルギーを使って発電する際、プラスとマイナスが交互になる電気が生み出されている。そのまま家庭へ送電されるので、家で使う電気は交流であり、コンセントさえ差し込めば、プラスとマイナスの極を気にせず、家庭電化製品を使うことができる。
風力発電も、出てくる電機は交流だ。一方、太陽光発電は、太陽の光を受けた素子が電気を生むので、直流になる。太陽電池という言い方がされるのも、バッテリーと同じように直流電気が生まれることを示している。
再生可能エネルギーとひと口にいっても、太陽光発電と風力発電では、出てくる電機が直流と交流で異なる。それを、蓄電池(バッテリー)に貯めるとき、太陽光発電はそのまま充電できるが、風力発電では、交流の電気を直流に切り替えるインバーターが必要になる。
電気自動車(EV)の車載バッテリーに充電された電気は直流で、これを利用してモーターを駆動するには、手前で交流に変換する必要がある。それを行うのが、インバーターだ。充電はその逆で、交流を直流へ切り替えてから、バッテリーに充電する。
電気そのものの本質は直流だが、電気を作る段階で、発電所では交流になるやり方が広がり、電池を使う直流と、系統電力を使う交流が存在し、利用する電気製品も勝手が違ってくる。