9月の「ラリー北海道」での活躍にも大期待
7日のレグ2でも松岡選手は余裕のクルージングを見せながらも、SS9、SS10、SS11、SS12でベストタイムをマーク。さらに2番手につけていた三枝選手が脱落したことで、後続に1分30秒以上の差をつけて自身およびGRカローラの初優勝を獲得した。
こうして全日本ラリー選手権、そしてダートトライアルやジムカーナのスピード競技を含めてすべての全日本選手権で初優勝を獲得したGRカローラだが、その勝因は前述のとおり、ロングホイールベースが生み出した安定性だといえるだろう。
ドライバーの松岡選手にGRカローラの利点を尋ねた際、「どこでタイムを稼いでいるのかよくわかりませんが、コントロールがしやすくて、リヤが出るようなことはなかった。安心してドライビングできました」と回答。GRカローラは、GRヤリスはもちろん、スバルWRXよりも車両重量が重く、ルーズなウエットグラベルではヘビーウェイトが不利となるはずだが、松岡選手はGRカローラのニュートラルなハンドリングを武器にラリーを支配していた。
また、JN1クラスからJN2クラスにクラスを変更したこともGRカローラの勝因のひとつで、2023年のJN1クラスでは、シュコダ・ファビアR5やGRヤリスRALLY2といった国際規定モデルやスバルWRX S4など大胆なモディファイを行った国内規定モデルを前に苦戦。GRカローラはJN1クラスに参戦するために仮ナンバーで登録していたが、大幅なアップデートが行われなかったことから、JN2クラスのナンバー付き車両に近い状態となっていた。
しかし、2024年はJN2クラスに参戦すべく、ラックスポーツはナンバー付き車両としてGRカローラの競技車両を新規制作。開発が遅れたことから、GRカローラのJN2仕様車のデビュー戦は第5戦のモントレーとなったが、JN1クラスで得た経験を随所に盛り込んだことで、松岡選手×GRカローラは待望の初優勝を獲得した。
もちろん、ドライバーの顔ぶれにおいても、新井敏弘選手、勝田範彦選手、奴田原文雄選手、鎌田卓麻選手など、全日本ラリー選手権のチャンピオン経験を持つベテランが集結するJN1クラスに対して、JN2クラスは前述の三枝選手などの若手ドライバーを中心とする顔ぶれとなっていることも大きな要素。2023年にJN1クラスで強豪たちに揉まれてきた松岡選手にとって、JN2クラスのトップ争いは比較的に戦いやすかったに違いない。
このように、いくつかの要因で待望の初優勝を獲得した松岡選手×GRカローラは、9月6〜8日にかけて、北海道帯広市を舞台に開催される全日本ラリー選手権・第7戦「ラリー北海道」にも参戦する予定となっているだけに、高速グラベルラリーで2連勝を果たせるのか、その動向に注目したい。