構造上仕方ないモデルも……
さて3台目は、クラッチペダルを踏み込み、回転数を上げながらクラッチがつながるポイントまでペダルを上げてくる感覚が、「ちょっと長くてタイミングがとりにくい、足が攣りそうになる」といった声があるのが、ルノー・メガーヌR.S.。たしかに、一般的な国産のMT車よりも踏み込みが深い感覚で、シート位置が後ろの方にあるとつま先をギリギリまでのばして踏んでいるような状態になりがちです。
ジムカーナのようにスパ、スパ、とシフトチェンジをしたいときなどは、ちょっとクラッチ操作が間のびしてしまうように感じるところもありました。ただ、これも慣れの問題で、毎日乗っていれば俊敏な操作ができるようになるのはないでしょうか。
実際、メガーヌR.S.はニュルブルクリンクサーキットでFFコンパクト最速タイムをホンダ・シビックTYPE Rと競い合っているくらいなので、しかるべき腕のある人が乗れば、爽快にドライブできることは間違いありません。
4台目は、リバースに入れるのが遠くてやりにくいという声がある、トヨタ・スープラ。一般的なMT車は、6速のあとにリバースがくるので、ドライバーからはもっとも近い位置にシフトレバーをもってくる形になります。でもスープラの場合は、1速の前にリバースがあるため、いちばん遠い位置かつ、レバーを押しながら斜め左上に入れるという配置になっているのです。
感覚的に、「これからバックで後ろに下がるというときに、シフトレバーを斜め上に入れるのがしっくりこない」という人もいれば、単純に「手が遠くて力が入りにくい」という人も。でもこれには理由があって、スープラはBMW Z4と共同開発のため、左ハンドルも視野に入れて作られています。そのため、左ハンドルだとこの配置が操作しやすいから、ということになりますね。
最後に5台目は、以前は販売されていたMINI 3ドアのMTモデル。これも元気いっぱいでエモーショナルな走りが楽しめる、とびっきり魅力的なMTモデルで中古車市場でも人気がありますが、アクセルペダルとブレーキペダルがかなり離れた位置にあり、MT車のドライビングテクニックである「ヒール&トゥがやりにくい」という声が。
というのも、MINIのMT車はペダルがオルガン式といって、フロアからニョキッと生えているタイプ。吊り下げ式のペダルよりも離れた位置に配置されているのです。先につま先でブレーキを踏みながらアクセルペダルをカカトで煽る、というヒール&トゥですが、ブレーキを踏んでからアクセルにカカトが届く前に、減速しすぎてしまうという声がありました。
ということで、ここだけがちょっと、というMT車のガッカリポイント。でもすべて完璧なクルマよりも、ひとつくらいそういうところがあった方が、余計に愛しくなったりするものかもしれませんね。