アウトドアブームの現在ならヒットしそうな装備もあった
フルモデルチェンジではなく、マイナーチェンジで葬られた機能として、三菱エクリプスクロスの後席6:4分割スライド機構がある。
後席を左右別々に約20cmスライドし、6:4分割の片側、または両側を最前端にセットすることで、ラゲッジスペースの奥行が後席最後端位置の約760mmから約960mmまで拡大できる(後席背後に凹はできるが)だけでなく、前席背もたれと後席座面先端のすき間がほとんどなくなり(前席のシートスライド位置による)、荷物やペットがフロアに落ちる心配が減少する、3名乗車でもラゲッジルーム片側の奥行を拡大できる……など、後席を前方にスライドしたときの凹部分を解決できれば、なかなか使い勝手がよかったのだ。
しかし、マイナーチェンジでその使い勝手は消滅。じつは、後席を前方スライドすることでラゲッジスペースとの間に凹み部分ができてしまうのだった(小さい荷物が落ちる)。
しかし、前端の凹部分は、リヤドアからアクセスできる、小型のキャリーケースなどを置くのにちょうどいいスペースになることを発見。その凹み部分の存在が廃止の理由かも知れないが、そもそもSUVとしては希少な後席スライド機構がなくなったのは残念無念である。
輸入車でも、先代にあってとても便利だったのに、新型には装備されず、葬られたもののひとつに、究極のMPV、ユーテイリティカーのルノー・カングーに備わるオーバーヘッドコンソールがある。高い室内高のゆとりを生かした、天井に備わる物入だが、先代では前席頭上と後席頭上の2か所にあったものが、新型では前席頭上のみの装備になってしまったのである。
同様に、モデル途中のマイナーチェンジで消えたVWのミニバン、トゥーランにかつてあった装備が、前席、2列目席の頭上にあったオーバーヘッドコンソール。これもマイナーチェンジで消滅。電動パノラマサンルーフ(ハイライン、Rラインにオプション)が用意されたことが原因かも知れないが、実際、かなり便利で使える装備だったから、これまた残念である。
そのほか、かつてあったマツダのミニバン、ボンゴフレンディにあってルーフ部分が電動でもち上がり、ルーフに大人ふたりが寝られるテントスペースが出現するオートフリートップも、いまの自動車メーカーが純正で採用していない、ボンゴフレンディに1代限りあった装備。
当時もアウトドアユーザーに大人気だったのだが、空前のアウトドアブームの現在、どこの自動車メーカーのミニバンにもそうしたルーフトップ装備は採用されていない。そうした架装は、キャンピングカーのコーチビルダーまかせ……ということなのだろうか。
もっとも、オートフリートップそのものはマツダ製ではなく、グローバルなサンルーフサプライヤーの広島のダイキョー・ベバスト、現ベバストジャパンの手によるものではあったのだが。