やっぱり「ガチもの」は違う! かつて多数存在した「ちっちゃくて安い」のに「悪路上等」な小型クロカンSUVが胸熱 (2/2ページ)

ロッキーの系譜はテリオスとビーゴに受け継がれた

 その意味で、進化形SUVモデルとして1997年に誕生したのがダイハツ・テリオスだ。

 のちにトヨタ・キャミという姉妹車も生まれたライトクロカンは、1.3リッターエンジンを縦置きにレイアウトしたフルタイム4WDのパワートレインだったのだ。しかも、センターデフロック機構をもっていたのは、初代ロッキーからの連続性を感じさせた。モデル後期にはFR仕様やターボエンジンを追加設定するなど、時代のニーズに合わせバリエーションを増やしていった。

 その流れは、トヨタ・ラッシュ/ダイハツ・ビーゴの姉妹車へ受け継がれた。2006年にニューモデルとして生まれたラッシュ/ビーゴは引き続き5ナンバー枠のボディに、エンジンを縦置きにするSUVモデルだったのだ。エンジンは1.5リッターへグレードアップされたが、センターデフロック機構付きフルタイム4WDという駆動システムは踏襲した。

 副変速機こそもたないが、センターデフロックをオンにすれば悪路走破性がレベルアップするのはご存じのとおり。ルックス的には街乗りメインのコンパクトSUVのように感じるかもしれないが、テリオスにしろ、ビーゴにしろ、中身は初代ロッキーからの血統をビンビンに感じさせるものだったのだ。

 さて、ダイハツ・テリオスといえば、基本的に同じプラットフォームを利用した軽自動車版「テリオスキッド」の印象が強いかもしれない。現在でも、スズキ・ジムニーには1.5リッターエンジンを積んだ白ナンバーのジムニーシエラという兄貴分モデルが存在しているが、テリオスとテリオスキッドの関係も似たようなものだった。

 1990年代、同様の関係を構築していたモデルとして印象深いのが、三菱のパジェロミニとパジェロジュニアの兄弟だ。3ドアボディは軽自動車のまま、オーバーフェンダーによりワイドボディとしたことで“パジェロらしさ”を強調。1.1リッターエンジンはもちろんフロント縦置きで、副変速機付パートタイム4WDの駆動システムは本格クロカンの正統派といったところ。前述したオーバーフェンダーにより205幅のタイヤを履いたことで、オールラウンドな走行性能をレベルアップしていたことも記憶に残る。

 ダイハツ・ロッキーから始まったテリオス(キャミ)、ビーゴ(ラッシュ)という系譜。そしてパジェロジュニアと平成前期に輝きを放った、クロカン性能も感じさせる小型SUVを振り返ってみたが、このカテゴリーにおける元祖といえるのがスズキ・エスクードだ。

 初代エスクードの誕生は1988年(昭和63年)とかなり昔の話。当初は3ドアボディだけの設定で、エンジンは1.6リッター直列4気筒だけ。全幅1635mmの5ナンバーボディでありつつ、外観はライトクロカン的な世界観を表現したものとして自動車史に残る存在といったらいい過ぎだろうか。

 とはいえ、中身は本格クロカンのそれ。シャシーはラダーフレームであり、駆動システムは副変速機付パートタイム4WDとなっていた。

 のちにロングホイールベース仕様のエスクードノマドを設定するなど、初代エスクードはバリエーションを拡大したことでも知られている。2リッターと2.5リッターのV6エンジンを積んだほか、マツダ製の2リッター直列4気筒ディーゼルもラインアップしていたことは、熱心なファンでなければ覚えていないかもしれない。


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