出たときゃ「いますぐ貯金始めなきゃ」レベルの盛り上がり! それでも結局市販されなかった残念なコンセプトカー3選 (1/2ページ)

この記事をまとめると

■モーターショーなどでは「コンセプトカー」の発表がお馴染みだ

■トヨタや日産やホンダもユニークかつ市販想定のコンセプトカーを数多く手がけている

■同じタイミングで発表されたモデルで実際に市販されたモデルもあるが販売不振に終わった

市販化して欲しかった惜しすぎるコンセプトカーたち

 モーターショーの形が時代とともに変わろうとも、その華がコンセプトカーであることに変わりはない。未来の市販車につながるアイディアや技術が込められた、あるいは未来の市販車そのものとなるコンセプトカーには、クルマ好きの夢が詰まっているからだ。

 しかし、残念ながら市販車に結実せず、コンセプトカーのままで終わってしまうモデルも少なくない。今回はそんな、いまなお市販化が熱望されるコンセプトカーをいくつか紹介したい。

トヨタS-FR

 2015年の東京モーターショーで世界初公開された、2+2シーターのFRライトウェイトスポーツクーペ。

 全長×全幅×全高=3990×1695×1320mm、ホイールベース2480mmの小柄な5ナンバーボディに、かつての「ヨタハチ」ことトヨタスポーツ800を彷彿とさせる丸基調のロングノーズ・ショートデッキスタイルを構築。

 水平・垂直基調のインテリアは、既存車種のパーツを巧みに流用しつつもシンプルかつ操作性に優れているであろう、極めて現実的な設計となっていた。

 パワートレインに関しては詳細なスペックが明かされていないものの、広報資料では、
「エンジンをフロントミッドシップに搭載した本格FRレイアウトを採用。最適な重量配分と独立懸架のサスペンションで優れたコーナリング性能を実現」
「車体の前後の重量配分50:50(2名乗車時)を目指す」
「軽快なドライビングを実現するため、6速マニュアルトランスミッションを搭載」
と明言。エントリーモデルながら走る楽しさと操る楽しさを追求した、本格スポーツカーとして市販化されることが強く期待されていた。

 だが、同年5月に協業に向けた覚書をトヨタと交わしたマツダから発売された4代目ロードスターとの競合、あるいは格上ながらも身内の86やBRZとの共食いが懸念されたためか、市販化には至らずそのままフェードアウト。

 ……するかと思いきや、2023年のジャパンモビリティショー(以下、JMS)で、このS-FRをそのままオープンボディ化したかのようなコンセプトカーが、なんと同じトヨタグループのダイハツから発表された!

 それこそが、読者の皆様の記憶にもまだ新しいであろう、「ビジョン コペン」である。

 初代コペンを色濃く踏襲した丸基調のスタイルと、電動開閉式ルーフ「アクティブトップ」を継承しながら、「FRレイアウトとCN燃料の活用を見据えた内燃機関の組み合わせにより、走る楽しさを極めた新たな小型オープンスポーツ」へとコンセプトを一新。

 公表されたボディサイズは全長×全幅×全高=3835×1695×1265mm、ホイールベース2415mmと、2シーターオープン化されたことでS-FRよりもさらに小さくなっており、走りの楽しさを一段と期待できるものに。

 そして、エンジン排気量は1300ccとされたことで、軽自動車ほど非力ではないもののスポーツカーのエントリーモデルとして相応しいパフォーマンスを備えることが明確に予感できるようになったのも嬉しいポイントだろう。

 もしこのビジョンコペンが市販化されれば、S-FRもそのクーペバージョンとして市販化されることにも俄然期待が持てるというもの。コンパクトなFRプラットフォームと縦置きパワートレインを単一車種のためだけに新設計するのは合理的ではなく、裏を返せば複数車種で共用するのがむしろ合理的だからだ。

 そんな希望的観測が現実となることを、心から期待している。


遠藤正賢 ENDO MASAKATSU

自動車・業界ジャーナリスト/編集

愛車
ホンダS2000(2003年式)
趣味
ゲーム
好きな有名人
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