大幅改良したホンダ「新型ヴェゼル」がマジでバカ売れ中! ライバルと徹底比較して「イイとこ」「もう少しなとこ」を徹底検証 (2/2ページ)

ヴェゼルは本当に魅力的なクルマになったのかライバル車と比較

 そんな最新のヴェゼルのライバルとして挙げられるのは、多少のクラスの上下はあるものの、トヨタ・ヤリスクロス、日産キックス、マツダCX-30などがすぐに頭に浮かぶが、じつは身内のホンダWR-Vも、ヴェゼルGのライバルと見ていい。

 ヴェゼルはアーバン(都市型)といっても、紛れもないクロスオーバーSUVであり、コンパクトなボディサイズを生かした日常使いはもちろん、空前のアウトドアブームの最中だけに、アウトドアユースの資質にも注目だ。

 まず、家族や仲間と出掛ける際に気になる後席居住空間について比較すれば、身長172cmの筆者のドライビングポジション基準でヴェゼルは頭上に115mm、膝まわりに驚愕の290mmというとんでもない広さとなる。CX-30は同100mm130mmヤリスクロス同120mm125mm、キックス同130mm155mm。ちなみに身内ライバルのWR-Vは同160mm240mmと、後席のゆとりを実感しやすい膝まわり空間でホンダ勢、ヴェゼルが圧倒していることになる。

 なお、暑い時期の後席の快適性に直結する後席エアコン吹き出し口の装備があるのは、ヴェゼル、WR-V、CX-30ぐらいのものである。

 アウトドアユースでは荷物の積載性も重要だが、この点についてはWR-Vが健闘。ラゲッジルームのフロアは奥行き840mm、最小幅1015mmとクラス最大級。CX-30は同800mm、1000mm。キックスは同890mm、980mm。ヤリスクロスは同790mm(ボード下段)、995mmとなる。

 ヴェゼルはといえば、同755mm、1010mmとやや奥行不足。つまり、アーバンクロスオーバーSUVとして、ラゲッジルームより後席居住性優先のパッケージということだ。とはいえ、3名乗車で後席の片側を倒せばフロア奥行は1550mmに達するから、アウトドアの荷物もしっかりと積み込むことが可能となる。

 さて、走行性能について、ヴェゼルのメインとなるハイブリッド同士で比較すると、EVモード/ハイブリッドモード/エンジンモードを切り替えられ、マイナーチェンジでEVモードの作動領域を拡大したヴェゼルのe:HEV、100%モーター駆動で電動車感の強いキックスのe-POWER、トヨタ自慢の2モーターハイブリッドシステム=THS IIを持つヤリスクロス、スポーティなハンドリングと乗り心地、静粛性のバランスの高さが魅力のCX-30のマイルドハイブリッドe-SKYACTIV G 2.0が並べられる。エンジンはそれぞれ4気筒1.5リッター、3気筒1.2リッター(発電専用)、3気筒1.5リッター、4気筒2リッターとなる。

 動力性能について車格なりに不満のある車種などはないが、マイナーチェンジしたヴェゼルで際立つのが車内の静粛性だ。フルハイブリッドモデルなら、EVモード走行時のパワーユニットからのノイズはないに等しいが、エンジンが始動するハイブリッドモードになると、エンジン本体からのノイズ面で、4気筒が優位なのは当然。しかし、忘れてはいけないのが、ピュアEVでも気になるロードノイズ。この点では、さすがにマイナーチェンジで徹底的に静粛性を追求したヴェゼルがリードする印象だ。

 乗り心地面でもヴェゼルはマイナーチェンジ前の4WDはいいが、FFは硬い……といったウィークポイントが解消され、FFモデルでもフラット感が高まり、首都高の段差乗り越えでも軽やかに「タン」といなしてくれるようになったのだから、乗員の快適性でひとつ抜きんでているのがヴェゼルということになる。

 各車のWLTCモードによるハイブリッドFFモデルの最高燃費はヤリスクロス30.8km/L、ヴェゼル25.3~26.0km/L、キックスが23.0km/L、CX-30が16.2km/L(ディーゼルターボは19.5km/L)と、車重、車格を考えれば、ヴェゼルのモード燃費はじつに優秀ということになる。マイナーチェンジモデルで首都高約60%(主に最新制御のACCを使用)、一般道約40%の走行を行った際のe:HEV Z PLaYパッケージの実燃費は23km/L近くまで伸びたのである。

 ただし、マイナーチェンジしたヴェゼルには足りないものもある。ひとつはトヨタ車のトヨタセーフティセンスに含まれるじつに有用な、一般道でもACCなしで先行車、カーブなどに対する減速支援などを行ってくれるプロアクティブドライビングアシスト的な機能がないことと、トヨタのハイブリッドに用意される、車内外で1500Wまでの家電品が使え、停電時には一般家庭の約5日分の電力を供給することが可能になる(ガソリン満タン、消費電力400W時)AC100V/1500Wコンセントが、ヴェゼルのe:HEV=ハイブリッドモデルにはないことである。

 細かいことだが、オートブレーキホールド機能にメモリ―機能(エンジンを切ってもオートブレーキホールド機能のONが維持される/ホンダ車ではこのヴェゼルから採用/トヨタ車では不採用)が付く点も評価できる。

 ヴェゼルが今回のマイナーチェンジでより魅力的に進化し、快適性を高めたことは間違いないところ。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

新着情報