この記事をまとめると
■車両保険を使ってクルマの小さな傷や凹みなどを直すと保険の等級が下がる
■内容次第では修理代より翌年の保険料が上がる可能性があるので保険を使わない人も多い
■トヨタは10万円までのダメージを保険等級に影響せずに修理できるサービスを展開する
トヨタがありそうでなかった新たな仕組みを取り入れた
車両保険にせっかく加入しているのに「保険料が高くなるから軽い事故では保険を使わない」というドライバーが少なくない。保険料が高くなる理由は、保険の等級制度にある。車両保険を使うと、大半の事故で3等級下がる。そうなると、その後に支払う保険料が高まってしまう。
しかもいまは、無事故で低い等級から繰り上がった場合と、事故を発生させて高い等級から下がったときでは、同じ等級でも後者の保険料が高くなる。同じ等級でも事故無と事故有の区分があり、後者の保険料は高額になってしまうのだ。
この仕組みにより、修理費用の安い事故で保険を使うと、トータルでの保険料が修理費用を上まわる場合がある。そこで車両保険に加入しながら、保険を使わないケースが増えているわけだ。
この状況を考えて、トヨタは「愛車プロテクト」を設定した。
車両保険の一種だが、支払われる保険金の上限を1回の事故について10万円に設定している。1年間に支払われる保険料の上限も10万円だ。つまり、保険料が高額になることを敬遠して車両保険の使用を控えるような、安い修理費用の損失をカバーする車両保険になる。
そして、愛車プロテクトは使っても、加入している任意保険の等級に影響を与えない。したがっていままで諦めて自分で負担していた修理でも、愛車プロテクトに加入していればカバーできる。そのために愛車プロテクトを利用できる条件は、車両保険の免責金額(自己負担額)が10万円以上、あるいは車両保険を付帯していない場合とされている。
注目されるのは保険料の設定で、月々1500円を上限に、保険金の支払い総額と加入契約数に基づいて毎月変動する。月々1500円を超えることはないが、安く抑えられる場合はあるわけだ。細かな擦り傷など、低額の修理をする機会の多いユーザーには、メリットのある保険となっている。