オートエアコンすらもオプションって昭和かよ! 素のポルシェが「麺とスープだけ」のラーメンのような設定なワケ (2/2ページ)

オプションレスでも911の乗り味が減損するわけではないが……

 ボディカラーの次にはクルマの佇まいを装うホイール。標準は19/20inのカレラホイールですが、24万3000円を払ってもらうとカレラSの20/21inへとグレードアップ。これまたエクスクルーシブ・マニュファクチュールという最高級ラインを選ぶとカレラ・エクスクルーシブデザイン(カーボンブレード付き)の20/21inを装着可能。こちらは一桁あがって105万1000円と、庶民感覚を秒でぶっちぎり(笑)。

 こうしたオシャレ要素にバリエ豊富なオプションが用意されるのは高級車のデフォルトではありますが、ポルシェの場合は「ちょっと待って、それもオプションなの?」というものも少なくありません。

 例えばプライバシーガラス(8万2000円)、リヤワイパー(5万2000円)、オートエアコン(13万円/標準はマニュアルエアコン)、あるいは国産ミドルクラスなら標準的なレーンキープアシストやアンビエントライト、これみんなオプションで追加料金マシマシです。たしかに、なくてもいいやと割り切れるものではありますが、1600万円からのクルマでエアコンが手動って(笑)。

 これ、バイザッハのいいぶんを考えてみると、車体価格というのはあくまで911の性能、ハードに対するものであり、ハンドリング性能やエンジンの官能性、あるいは911に乗るという気持ち的ステイタスに値付けをしているわけです。オプションをケチったからといって、911の乗り味が減損するわけでは一切ありません! てな感じかと。ラーメンでいえば、極上の麵とスープさえ味わえれば「後のせ具材はすべて雑味なり!」と海原雄山みたいなストイックさに通じるのかもしれません。

 また、昔からポルシェの太客だったアメリカでは、「オプション? 全部のせといて」という買い方がデフォだったこともあり、商いに長けたバイザッハが「あれもこれも」とオプションカタログを分厚くしていった、という経緯もありそうです。灰皿(スモーカーセット:1万円)がオプションになったのも北米が発祥だと言われてますからね。

 ともあれ、いろんなものがオプションになっているのは「選ぶ楽しみ」や「オレの911づくり」といった味わい方が用意されているとも考えられるでしょう。1600万円も払ったんだから! というカスタマーハラスメントじみたことを言わずに「今度のポルシェはどうしよっかなー」くらいが平和(笑)。まったく、ポルシェってやつは話題に事欠かないメーカーです。


石橋 寛 ISHIBASHI HIROSHI

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