同じようなマシンで闘ってるのにどうしてあんなに差が付く? レースの「遅い」「速い」は何で決まるのか (2/2ページ)

セッティングのよし悪しによりパフォーマンスに大きな差が生じる

 一方、アジア最高峰のフォーミュラレース、スーパー・フォーミュラはパワーユニットこそ、トヨタ/ホンダの2社が供給しているものの、マシンはダラーラ製の「SF23」のワンメイクで、タイヤもヨコハマのワンメイクコントロールを実施している。

 前述したほかのカテゴリーよりも性能格差の少ない環境にあるが、それでも予選ではトップから最下位まで数秒の差がつくほか、決勝でも1分以上の大差がつくことも少なくはない。やはり、このタイム差はマシンのパフォーマンスが大きく影響している。

 そして、マシンのパフォーマンスを生み出しているのが、マシンのセッティングにほかならない。

 通常、フォーミュラカーは前後のウイングでダウンウォースを変更できるほか、サスペンションに関してもジオメトリーやダンパーの減衰力、バネレートなどを変更可能。さらにブレーキのバランスからエンジンの特性変更、さらにタイヤの空気圧までセッティング項目は多岐に渡る。

 しかも、どの項目も細かい調整が可能となっていることから、各チームは路面状況に合わせてピンポイントのセッティングを実施。その良し悪しがハンドリングに大きな影響を与えることから、ワンメイクの要素が多くても、マシンのパフォーマンスに大きな違いが生じている。

 とはいえ、いくらマシンが完璧な状態であっても必ずしも勝てるわけではない。ときとしてマシンをコントロールするドライバーやピット作業を担うメカニックの“ミス”がリザルトを左右。それがマシンを使ったヒューマンスポーツ、モータースポーツの魅力であり、ドラマチックなバトルが展開されるのである。


廣本 泉 HIROMOTO IZUMI

JMS(日本モータースポーツ記者会)会員

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