クルマの動きに合ったところを探しながら調整することが大事
減衰力調整ダイヤルはこのピストンバルブのついているシャフトの中心に穴が開けられていて、そこからもオイルが行き来するようになっているが、その穴をニードルと呼ばれる棒で締めたり開けたりすることで減衰力の一部を変えることができる。減衰力すべてが変わるわけではなく、バイパスしている部分の調整。
また、機構的に減衰力調整がひとつのモデルだと、伸び側の減衰力が主に変わり、縮み側の減衰力は少しだけ変わることが多い。これはそういった機構に設計されているから。一部メーカーでは伸び側だけが変わることもある。
調整ダイヤルがふたつついていて、縮み側と伸び側を別々に調整できるが2ウェイと呼ばれるもの。さらに3ウェイだと縮み側が素早く縮むとき(高速側)とゆっくり縮むとき(低速側)の調整と、伸び側の調整がある。
伸び側と縮み側のどちらも低速側と高速側の減衰力がいじれる4ウェイという構造もある。
減衰力調整はサスペンションの伸び縮みの速度を変えるものなので、サーキットに行ったからイコール減衰力を強めるというのは正解ではない。むしろサーキットでは素早くブレーキをして姿勢を変化させ、そこから素早く旋回姿勢にして曲がりたい。そうなると減衰力が強いと姿勢が変わるまでに時間がかかってしまう。
だが、速度が上がってクルマの姿勢変化が大きくなり、それを抑えるために減衰力を強めたいこともある。なので、どちらもありえるということ。サーキット=減衰力を強めるという図式ではないのだ。
減衰力はクルマの動きを調整するためのもので、タイヤやホイール、ボディとサスペンションが動くときの速さをバランスさせるためにある。調整機構があるなら普段乗りから調整して、クルマに合ったところを探してもらいたい。必ずしも街乗りでは減衰力を弱めれば乗り心地がよくなるわけではない。また、フロントとリヤが異なる段数でもまったく問題はない。そもそも構造的にも違うこともある。
サスペンションメーカー側では前後同じ段数でバランスが取れるように設計、調整はしているが、必ずフロントが10段戻しだったらリヤも同じにすればバランスが取れるわけではないので、フラットな気もちでクルマの動きに合わせて調整してもらいたい。