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けっこう簡単にヒビは入るのに砕けない! でもヒビが入ったら車検は通らず! クルマのフロントガラスの仕組みとは?

けっこう簡単にヒビは入るのに砕けない! でもヒビが入ったら車検は通らず! クルマのフロントガラスの仕組みとは?

この記事をまとめると

■飛び石が当たるとフロントウインドウにヒビが入ったり欠けたりすることがある

■フロントウインドウが割れない仕組みのひとつに「合わせガラス」の採用がある

■簡単に割ることはできないので緊急脱出が必要な際はサイドやリヤウインドウを割ろう

フロントガラスってどうして粉々にならない?

 どうしても避けられないのが飛び石によるガラスの破損。速度域が高い高速道路で起こりやすく、突然ピシッという音とともにフロントガラスにヒビが入ってしまうので、とても驚いて精神衛生上よろしくないし、財布への負担も大きいのは気も滅入る。運がよければヒビにならず、表面が欠けただけで済み、車検にも通るし、ウインドウリペアも可能だ。逆にヒビとなるとリペアは不可能、車検も通らないので交換するしかない。

 しかし、不思議なのは、家庭用の窓ガラスやガラス瓶を割ると細かい破片が飛び散るのに、クルマの場合はバリバリに割れないところ。じつはクルマ用のガラスはそもそも一般のガラスとは異なっているのと、さらにフロントガラスに関しては特殊なものを採用しているから。

 まずクルマ用のガラスは強化ガラスを使用するように定められている。強化ガラスはその名のとおり、割れにくいのが特徴で、割れても破片は鋭利ではなく、粒状になるようになっている。粒状になるのは怪我をなるべくしないようにするためだ。ちなみに防弾ガラスとは強化ガラスを厚くしたものだ。

 以前はフロントガラスにも強化ガラスを使用していたが、粒状とはいえ、正面から乗員に降りかかるのは危険ということで、1987年から装着を義務付けられているのが合わせガラスとなる。これは特殊な樹脂の膜を強化ガラスでサンドイッチして作られるもので、割れても破片は膜に貼り付いているので散らばらないのが特徴。飛び石が当たってバリバリにならずに亀裂で済むのも、この内部の膜のおかげ。ちなみにフロントガラスの上が薄いブルーになっているのは、内部の膜に色が付けられているからだ。

 実際に中間膜を触ったことがあるが、強い力で引き裂こうとしても無理だった。柔軟性がないと前面衝突した場合、逆に頭部の損傷がひどくなってしまうので、ここで使われるのは柔らかい樹脂なのだが、破ることはできないという不思議な感じだった。

 このようにガラスひとつとっても、安全性に配慮したものになっている。事故で閉じ込められたり、最近では水没などでドアが開かなくなったりしたときのためにガラスを割るレスキューキットに注目が集まっている。ただし、フロントガラスを割ろうとしても無理なので、サイドもしくはリヤを割るというのを頭に入れておくといいだろう。

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