急速充電器にもバッテリー火災を防ぐ技術が備わっている
そのうえで、2代目リーフでは一般に三元系とよばれるコバルト/ニッケル/マンガンの3元素を使った電極材料が使われるようになり、充電量をより多く実現し、安全と大電力の貯蔵というふたつの目的を果たした。それができたのも、充放電の安全な制御を、マンガン酸リチウムを使いながら手の内にしたからである。
加えて、日産が採用したラミネート型のバッテリー形式は、表面積が広いため冷却性能に優れ、加熱を予防する基本性能で一歩リードする。韓国のLGや、それを基にしたゼネラルモーターズ(GM)のアルティウムバッテリー、あるいはメルセデス・ベンツが採用したラミネート型リチウムイオンバッテリーなど、いずれも安全性が高いはずだ。
一方で、テスラは、PCなどで使われた汎用のリチウムイオンバッテリーで、モデルSを成り立たせた。路面で床下を打つなど、事故による火災の事例がなくはないが、汎用リチウムイオンバッテリーで市販EVを成り立たせた背景には、日産などがマンガン酸リチウムを採用しながら慎重に充放電制御を検証したことに通じる知見を、1990年代からベンチャー企業などが積み上げてきたという歴史的背景がある。バッテリーの安全管理は、バッテリー技術はもちろんながら、制御技術が大きなカギを握る。
また、国内においては、急速充電のCHAdeMOが、充電用接点のほかに充電器とEVとで交信するための通信専用接点を備え、充電中も安全を確認していることも見逃せない。
急速充電と普通充電をひとつのコネクターで済ませる欧米のCCS(コンバインド・チャージング・システム)方式は、通信専用の接点をもたないので、充電中は充電状況を車両とやり取りしにくいため、充電中によるショートや火災などが発生した事例がある。