成功の理由はディーラーの整備など日本に合わせた販売戦略の賜物
正直、BYDの日本市場への参入は成功しやすい環境ではなかった。先に述べたように、日本でのインポートカーはブランド力が必要となるし、その辺りは歴史あるヨーロッパメーカーには敵わない。また、実用の面ではBEVには否定的な声もある。
そのようななかでもここまでの成功を納めることができたのは、日本市場でクルマを売るということをしっかりと考えているからだろう。2024年6月現在、ディーラーネットワークは開業準備店も含めて55拠点となっていて、ショールームは30拠点だ。これからも販売ネットワークを増やす予定とのことで、「ディーラーへ行って営業マンからクルマを買う」という日本流のクルマの買い方に準拠した地道なネットワークの構築が功を奏しているといえる。
また、冒頭で伝えたCMの効果も大きいそうだ。CMを見てディーラーへ足を運んでみる人も多く、来店プレゼントや試乗プレゼントなども用意されている。ディーラーへ行く心理的ハードルを下げて、まずはBYDのBEVを体感してもらい「電気自動車ってありだね」と思わせる戦略を取っているようだ。
そして、0金利キャンペーンや認定中古車制度の導入も購入への心理的ハードルを下げていて、販売台数を増やしている要因といえるだろう。とくに認定中古車制度は、リセールバリューが不安になるBEVの購入にとっては嬉しい制度といえる。
クルマそのものの完成度も高いと評されることが多いBYDだが、売れている理由はそれだけではない。日本という特殊な市場に合わせた売り方にも理由があるといえそうだ。これからどこまで輸入車メーカーとして延びていくかも注目だ。