「911にあらずんばポルシェにあらず」なんて笑止千万! SUVでもセダンでもEVでもポルシェが作ればポルシェ感は宿る!! (2/2ページ)

ポルシェ感とは911ならではのものならず

 それゆえ、いまのポルシェから911以外のモデルを購入したとしても「ポルシェ感」を味わえるといって差しつかえないはず。ですが、ここで厄介なのが「自称グルメ」とのたまう方々の存在。ネット社会、情報がオープン、かつハイスピードで拡散される世の中ですから「あの老舗がカレー作るって!?」「豚肉が同じならクオリティも変わらんだと、笑止」みたいなことをいわれがち。

 たしかに「マダムでも簡単に転がせるオートマSUV」なんて、それまでのスパルタン、シンプル、それでいて懐の深いスポーツカーからは一番かけ離れているモデルに違いありません。とても同系統のテイストが味わえそうもないはずで、自称グルメたちによる炎上も仕方ないのかと。やはり、ポルシェ感=老舗のとんかつテイストは911以外では味わえないと嘆かれるのも無理はないのでしょう。

 もっとも、味わいという感覚はヒトを欺くことでも定評があります。カップラーメンだって、山登りで腹が減ったころに大自然に囲まれて食べたら「ウマ!」となるのが好例。それと同じで、911以外のポルシェだってシチュエーションさえ選べばバッチリとポルシェ感が味わえること請け合いです。サーキットにパナメーラをもちこんだって、もしかしたらホンダS660の後塵を拝するかもしれませんが、横浜あたりのちょっとしたホテルのエントランスならぶっちぎりでパナメーラの勝ち!

 また、箱根の山をカイエンでターボに任せて登っていっても、マツダ・ロードスターの軽やかさには及ばないかもしれません。が、キャンプ場でカイエンからスノーピークをおろすアナタを見る周囲の目は羨望のまなざしに違いなく、思わず鼻の穴からフフンと勝者の息吹がもれるはず。

 つまり、ポルシェ感というのは911だけにまとわりつくものではなく、ポルシェが作るモデルには必ずや(しかも、少なからず)漂っているのです。これぞ、さすが「老舗スポーツカーメーカー」と呼ばずしてなんでありましょう。


石橋 寛 ISHIBASHI HIROSHI

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三菱パジェロミニ/ビューエルXB12R/KTM 690SMC
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DJ(DJ Bassy名義で活動中)/バイク(コースデビューしてコケまくり)
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