この記事をまとめると
■ガソリンエンジンには主にSOHCとDOHCの2種類が存在する
■最近のガソリンエンジンはDOHCが大半を占める
■可変バルブタイミングといった制御を駆使して燃費やパワーを引き出すことができる
DOHCエンジンとSOHCエンジンってなに?
ご存じのように、レシプロエンジンの大まかな構造はシリンダー内で往復運動するピストンがクランクシャフトを回転させるというものだ。そして、シリンダーに空気を吸い込んだり、燃焼後のガスを吐き出したりするためにバルブがあり、そのバルブを駆動するのがカムシャフトとなっている。
最近のガソリンエンジンでは、カムシャフトを2本もつDOHCもしくはツインカムと呼ばれるメカニズムを採用していることがほとんどだ。DOHCというのは「ダブルオーバーヘッドカムシャフト」の略称で、エンジンの上部に2本のカムシャフトが置かれるバルブ駆動系レイアウトの設計となっていることを示している。
レシプロエンジンの進化を振り返ると、ある時期において「バルブ駆動系の進化がハイパフォーマンス化(高回転化対応)につながった」と表現することもできるだろう。
燃焼室の上にバルブを置き、カムシャフトはエンジンブロック側に置かれていたOHV(オーバーヘッドバルブ)の時代は、プッシュロッドを介してバルブを駆動していた。この方式はカムシャフトをまわす構造としてはシンプルで効率がいいといえるが、長いロッドを利用している関係で高回転化が難しい面もある。つまり、回転でパワーを稼ぐエンジンにするのが難しいといえる。
そこで、バルブの近くにカムシャフトを置くSOHC(シングルオーバーヘッドカムシャフト)が誕生、より高回転まで使えるようにして、エンジン性能(出力)を向上させていった。
しかしながら、SOHCは1本のカムシャフトに吸気バルブと排気バルブを動かすカム山を持つ構造となっているのはご存じのとおり。1本のカムシャフトで吸気と排気の両バルブを動かすため、バルブのサイズが限定されたり、バルブ挟み角と呼ばれる燃焼室に対するバルブレイアウトが限定されたりした。