巨匠が生んだ「初代パンダ」はどう活かされている? 画像が公開された「グランデ・パンダ」をデザインのプロが斬る! (2/2ページ)

挑戦的な要素満載!

●豊かで張りのある面とユニークなグラフィック表現

 次は「張りのある面」です。新型のシルエットは初代をイメージしていますが、それでも現代の一般的なコンパクトSUVに近いもの。そこにある種の緊張感を与えているのが、前後ランプ間を走るキャラクターラインです。

 このラインは非常に細いのですが、同時に強さも持っており、緩くなりそうなボディを引き締めています。さらに、このラインはサイドのボディ面に強い張りを持たせているのも特徴。前後フェンダー部はもちろん、ドア面についても豊かな表情を作っているのです。

 3つめは「幾何学的なグラフィック」で、とくにピクセルのドット風表現はシンプルさを倍増するとともに、近未来的な先進感を打ち出す役割も負っています。

 このドット表現、最近だとヒョンデのアイオニック5にも用いられているのは読者の皆さんもご存じかと。

 同車はジウジアーロが1970年代に手掛けたポニークーペコンセプトをモチーフにしていますが、同氏による初代パンダにインスパイアされたグランデ・パンダと同様の表現を用いたのは、偶然とはいえ(?)とても興味深いところです。

 さて、駆け足で新型のデザインを振り返ってきましたが、正直なところコレといった特徴に乏しかった近年のフィアット車に対し、新しいデザイン要素は大きなインパクトになり得る可能性を感じさせます。できれば、2027年まで毎年投入されるというシリーズ各車にも同様のシンプルさや凝縮感を期待したいところですね。


すぎもと たかよし SUGIMOTO TAKAYOSHI

サラリーマン自動車ライター

愛車
いすゞFFジェミニ4ドア・イルムシャー(1986年式)
趣味
オヤジバンド(ドラムやってます)/音楽鑑賞(ジャズ・フュージョンなど) /カフェ巡り/ドライブ
好きな有名人
筒井康隆 /三谷幸喜/永六輔/渡辺貞夫/矢野顕子/上原ひろみ

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