この記事をまとめると
■かつて日本では軽スペシャリティクーペというカテゴリーが流行った
■三菱ではギャランGTOを小さくしたような「ミニカスキッパー」なるモデルを投入した
■1971年から1974年まで生産され後継モデルは登場しなかった
その姿はまさに”ミニ”ギャランGTO
長らく三菱のラインアップのボトムラインを担ったミニカ。そのミニカのクーペバージョンとして、1971年5月にリリースされたのが、ミニカスキッパーなるモデルである。
2代目のミニカをベースにして登場したミニカスキッパーは、前年10月に登場したホンダZに端を発した軽スペシャリティ市場に投入するべく開発されたもので、丸形4灯ヘッドライトをもったクーペスタイルは同社のギャランGTOを彷彿とさせるスタイリッシュなものとなっていた。
ただ、ボディサイズが限られた軽自動車枠内で収めるために、リヤエンドは大胆に切り落とされており、後方視界を確保するためにホンダCR-Xやトヨタ・プリウス(2代目~4代目)のようなエクストラウインドウが設けられていたことも特徴となっている。
そんなミニカスキッパーはスタイルが話題となり、ベースとなったミニカも1971年9月のマイナーチェンジのタイミングでスキッパーのイメージを踏襲する4灯フェイスとなっている。
一方のスキッパーも豊富なアクセサリーを用意して若者にアピールし、最上級グレードのGTではツインキャブレターやラジアルタイヤ、タコメーターといったスポーティな装備を備えていた。
しかし、1972年10月のマイナーチェンジで2ストロークから4ストロークエンジンへと換装がなされるとピークパワーがダウン。そして翌年にはGTモデルがラインアップから外れるなど縮小され、1974年夏にはスキッパー自体が消滅することとなってしまった。
結局、その後に軽自動車自体が実用性を重視したモデルが人気になるようになり、軽スペシャリティクーペという市場自体が縮小したこともあってか、スキッパーの後継車種は登場せず、ライバルとして存在していたホンダZ、フェローMAX、フロンテクーペなどもすべて1970年代で姿を消している(フロンテクーペのみセルボにバトンタッチした)。
このように商業的には大成功とはいかなかったミニカスキッパーではあるが、現代においてもそのスタイルは特筆すべきものがあり、見るものを魅了し続けていることは間違いないだろう。