センチュリー相手に苦戦
しかし、そんなディグニティは、宮内庁の公用車としても採用された実績があるものの、2000年2月の発売から約1年後の2001年3月末に、プラウディアとともに販売終了。ディグニティの販売台数はたった59台とされているのである。
短命となった理由はいくつかあり、そもそも台数をかせぐ車種ではないことと、当時のVIPセダンは5リッターV12エンジンを搭載するトヨタ・センチュリー(2代目/ウールファブリックシートが標準)の一強で、ディグニティの4.5リッターV8エンジンでは見劣りしていたことに加え、実際にそう使われていた三菱グループの社用車、重役専用車というイメージが強く、三菱グループ以外の法人にはそっぽを向かれていたからだろう。
さらに高級車にして駆動方式がFF=前輪駆動であったことも(トヨタ・センチュリーなど世界のVIPカーは後輪駆動)、ちょっとクルマに詳しいVIPに敬遠された理由ではないだろうか。そして販売開始から半年後に三菱自動車のリコール問題が表ざたになったことも、ディグニティとプラウディアの寿命を縮めた原因のひとつと言えそうだ。
ちなみに、ディグニティには2012年に登場した2代目(~2016年)が存在するが、こちらは日産シーマのOEMであり、当時、「最上級車種がOEMでいいのかっ!!」という議論を巻き起こしていた。
現在、初代ディグニティを中古車で探すことは極めて困難だが、ひとついえることは、2代目より初代のほうが、中古車価格が倍近く高く取引されているということ。つまり初代は、ネオクラシックな、国産車では数少ない自動車メーカーお手製のリムジンとして、希少価値がより高いということだ。