クルマのオートマの「P」と「N」! どちらも停車中に入れるレンジだけどなぜ2種類必要?

この記事をまとめると

■ATの乗用車のシフトパターンには必ずP、R、N、Dの4つがある

■PとNはどちらも停車時に使うがそれぞれ異なる役割が与えられている

■駐車するためのP、トラブル防止と発生時のために用意されているNを上手に使い分けたい

どちらも駐車時に使用する「P」と「N」

 AT車のシフトパターンには、P、R、N、Dを基本に、2、L、S、B、Mなどいくつかの種類がある。このうち、乗用車にはP、R、N、Dの4つが必ずあって、Pはパーキング、Rはリバース、Nはニュートラル、Dはドライブを意味しているのはご存じのとおり。

 そして、エンジンを始動するときはPレンジかNに入れて、フットブレーキを踏みながら、スタートボタンを押すことになっている。

 エンジンがかかっているときは、RレンジかDレンジに入っているとクリープ現象が起き、ブレーキを踏んでいないとクルマが動き出してしまうのが基本。

 したがって、信号待ちなどの短時間の停車を除けば、駐停車時はPかNにして、パーキングブレーキをしっかりかけて止まるのがセオリー。

 しかし、だとしたらPとN、どちらかひとつでもいいのではないか、と思うかもしれないが、PとNにはそれぞれ違う役割が与えられているので、両方あるのだ。

 Pは「パーキング」なので、駐車時に使用するためのもの。Pレンジに入れると、トランスミッション内部の歯車に、爪状の部品(パーキングロックポール)が引っかかって、ギヤが固定されクルマが動かないようになる仕組みだ。

 しかし、このパーキングロックポール、それほど強度があるものではないので、停止状態をキープさせるための主役はあくまでパーキングブレーキで、Pレンジはあくまでサポート役だと思ったほうがいい。

 一方、Nレンジは、駆動力をカットするレンジ。MT車のニュートラル、あるいはクラッチを切った状態と同じなので、アクセルを踏んでもクルマは動かない。

 そして、Pレンジとは違ってNレンジではギヤがロックされるような仕組みはない。

 ここがじつはミソであって、Nレンジはクルマが故障して動かなくなったときに押して動かしたり、レッカーで牽引するときなどに出番となる。

 また、DからR、RからDに切り替えるとき、一度Nを通過し、ワンクッション入れることで、トランスミッションへのストレスを軽減し、急発進などのトラブルを防止する効果もある。

 このように、PとNは同じ駐停車時に使うためのシフトポジションとはいえ、駐車オンリーのPと、トラブル防止とトラブル発生時のために用意されているNとではその目的が違うので、どちらかオンリーとはなかなかならない。

 しかし、大型トラックのATなどには、NレンジはあるがPレンジはなく、またMT車にもニュートラルはあってもPはない(MT車は1速かバックギヤに入れて駐車しておけば、Pレンジと同じような効果が得られる)。

 そう考えると、どうしてもどちらかを削るとすれば、NではなくP一択になるが、せっかく普及し用意されている以上、上手に使いわけたらいいのでは?


藤田竜太 FUJITA RYUTA

モータリングライター

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日産スカイラインGT-R(R32)/ユーノス・ロードスター(NA6)
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